研究課題
新規に発見したIL-18シグナルペプチド由来分子標的阻害剤を基盤とした薬効増強等を目的とした立体構造・機能相関解析を進めている。すでに、IL-18リガンドのmature formへの変換の際に切り出されるシグナルペプチドの阻害効果を発見し、その立体構造的特徴と結合様式の解明・GVHDモデルマウス生体内における薬効解析等について終了している。さらなる結合増強・安定化などによる薬効を増強するために、すでに得られた原子解像度の立体構造情報をもとに構造改変・立体構造スクリーニング(改変ペプチド、構造類似合成ポリマー、低分子薬剤等)による新規分子開発を進めることが本研究の目的であり、具体的には、これまで行ってきたIL-18関連分子群(IL-18リガンド、IL-18 binding protein, receptor α、receptor β, その他のβトレフォイル型インターロイキンなど)のアゴニスト・アンタゴニストとしての機能解析をふまえ、薬剤としてのポテンシャルの違いを、生物機能、タンパク安定性などについてタンパク構造学的に検討している。特に発見したIL-18ペプチド阻害分子を用いた改変・分子置換設計を進めた。当該年度においては、阻害剤・リガンド複合体間の立体構造結合様式の詳細についての解析を進め、立体構造上での分子解析を行った。分子表面における立体障害の計算、及び、分子表面における電荷及び水素結合の可能性をもつ原子をあらかじめ同定したのち、各種原子間相互作用を保持しつつ置換できるかどうかなどを検討し、候補分子群を探索した。
2: おおむね順調に進展している
構造解析において、ペプチドとしての設計については、従来の構造解析手法を適用して設計を進めた。一方、人工合成分子による置換及び生体内に存在しない原子・低分子での置換設計については、分子力動計算を応用して誘導体の設計を行う方法を進めている。これらの手法については、すでに完備している設備・ソフトウエア及び、すでに確立した手法を利用可能であり、効率的な解析が可能であった。すでにオリジナル分子から派生した分子おける結合可能性について検討を進めることができたが、改変・分子置換設計について、阻害剤・リガンド複合体間の立体構造結合様式の詳細について分子表面における立体障害の計算、及び、分子表面における電荷及び水素結合の可能性をもつ原子を同定したのち、各種原子間相互作用を保持しつつ置換を検討し、候補分子群を探索できるシステムを確立した。
今後については、新規に設計された分子について、安定化のための分子内結合及び分子間結合を改変し、これまでに、我々が確立した阻害タンパクIL-18BP及び、共同研究にて得られているヒト型IL18阻害抗体等との結合阻害効果の比較を行う。一方で、分子シミュレーション手法をもちいた相互作用の定量的解析を進める。この解析については、我々が開発したタンパク・タンパク相互作用を計算できる分子ドッキング手法を応用する予定である。さらに、ドッキングコンフォメーションにおける水素結合などの結合力の安定性を、部位特異的・結合特異的・時間経過における変動を含めて、分子力動計算などにより定量化する手法を用いて解析する
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