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2019 年度 実施状況報告書

発熱と脂肪織炎を特徴とする新規自己炎症性疾患の病態解明研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K08252
研究機関徳島大学

研究代表者

齋藤 雅子  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (00723892)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード脂肪織炎 / 自己炎症性疾患
研究実績の概要

我々の研究室ですでに作製・維持されているAshed-X欠損マウスを用いて、脂肪組織とその周囲に浸潤する免疫細胞を解析することで、組織炎症の有無や程度を評価した。その結果、SPF環境下で飼育しているAshed-X欠損マウスでは、少なくとも20週までは正常に発育し、脂肪組織の炎症はみられなかった。また、脾臓やリンパ節の大きさ、および、浸潤免疫細胞数もコントロールマウスとほぼ同等であり、明らかな炎症の兆候は認められなかった。
次に、高脂肪食を与えた肥満炎症誘導環境下にて経時的に検討し、脂肪蓄積時の組織炎症の有無を評価した。生後8週から20週まで高脂肪食を与えたAshed-X欠損マウスは、コントロールマウスと類似した体重増加曲線を描き、有意な差は認められなかった。また浸潤免疫細胞にも有意な差は認められなかった。しかしながら、脂肪組織中におけるサイトカイン・ケモカインの発現を評価したところ、Ashed-X欠損マウスでは、Cxcl9およびCxcl10の発現がコントロールマウスに比し有意に増加していることがわかった。
さらに、LPS誘導性の脂肪炎症を検討したところ、Ashed-X欠損マウスでは、皮膚の肥厚が有意に弱く、皮膚炎症の面積も小さい傾向にあることがわかった。皮膚炎症組織を用いたHE染色でも浸潤免疫細胞の増加は認められなかった。
以上の結果より、若齢のAshed-X欠損マウスでは炎症誘導時に組織炎症の増悪は認めなかったが、少なくもと二つのケモカインが脂肪組織の炎症誘発に関与している可能性が考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

産前・産後休暇および育児休暇により、研究計画の前半のみの遂行となったため。

今後の研究の推進方策

Ashed-X欠損マウスにおいて、脂肪組織内で免疫担当細胞に影響を及ぼすケモカインの上昇が認められたことから、今後は、高脂肪食モデルを用いた脂肪組織の網羅的な遺伝子変化をマイクロアレイ解析により詳細に検討し、遺伝子発現プロファイルから、それぞれの肥満誘導時の炎症による特有の分子の同定を試みる。また免疫細胞と脂肪組織とのクロストークを明らかにする予定である。
さらに、これまでの報告から、ASHED-Xが抗酸化作用に関係することが知られており、実際、ASHED患児においても酸化ストレスマーカ ーの一つであるMDA-LDLの血中濃度が高いことが分かっている。そこでAshed-X欠損マウスを用い、酸化ストレス増大の一因となる運動負荷の実施前後に、血清・唾液・尿中のMDA-LDLを含む多種の酸化ストレスマーカーを経時的に測定し抗酸化能を検討すると同時に、組織炎症の程度をフローサイトメーターや免疫組織染色等で確認することで病態との関連を明らかにしたい。

次年度使用額が生じた理由

理由:産前・産後休暇および育児休暇により、研究計画が変更になったため。
使用計画:当初2019年度8月から2020年度9月に予定していた実験計画を、研究再開後の2020年度10月以降に変更する予定であり、それに基づいて使用する予定である。

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公開日: 2021-01-27  

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