研究課題/領域番号 |
19K08260
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
天野 直子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 共同研究員 (70348689)
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研究分担者 |
高田 修治 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, システム発生・再生医学研究部, 部長 (20382856)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 副腎低形成 / モデルマウス |
研究実績の概要 |
先天性副腎低形成症を有する3症例において遺伝子A内の特定領域に微細欠失を同定した。本研究課題では、この遺伝子Aの特定領域を欠失した疾患モデルマウス(副腎低形成を想定)を作製する。作製した疾患モデルマウスの表現型、罹患組織(副腎・性腺)を病理組織学的および分子生物学的に解析し、遺伝子Aの副腎皮質発生・分化における役割および特定領域欠失による副腎皮質発生・分化障害のメカニズムを明らかにすることを目標としている。 前年度に生殖細胞系列に遺伝子Aエクソン2欠失をヘテロ接合性に有するマウス(ヘテロ欠失マウス)の作製に成功した。 当該年度に遺伝子Aのエクソン2ヘテロ欠失マウス同士を交配し、生殖細胞系列にエクソン2欠失をホモ接合性に有するマウス(ホモ欠失マウス)を作成した。ホモ欠失マウスのmRNAをシークエンスし、mRNAレベルでエクソン2が欠失していることを確認できた。ホモ欠失マウスは雄雌とも半数程度が日齢7以内に死亡した。週齢3以上まで生存したマウスは長期生存可能で、雄雌とも妊孕性があった。日齢0、週齢6の時点でのホモ欠失マウスの血液検査では、雄雌とも有意なACTHの上昇、コルチコステロンの低下を認めず、副腎不全は否定的であった。週齢6の時点で肉眼的に副腎が腫大し、副腎重量は野生型と比較して有意に重くなった。週齢6のホモ欠失マウスの副腎では雄雌とも皮質の細胞密度が増加し、皮髄境界に濃染される細胞からなる境界不鮮明な層が出現した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度の予定であった生殖細胞系列に遺伝子Aエクソン2欠失をホモ接合性に有するマウス(ホモ欠失マウス)の作製に成功し、生存率、副腎の表現型について解析出来た。ただし、副腎不全を疑う生化学検査所見を認めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
副腎の免疫組織化学的検討、死亡したマウスの病理解剖を行い、死因について検索する。日齢0、週齢6のホモ欠失マウスの副腎から抽出したmRNAを用いてRNAシークエンスを行い、副腎の構造変化が起こるメカニズムおよび遺伝子Aとの関係を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
効率的な支出を行ったため60円という端数が生じた。未使用金は次年度のマウス飼育費に使用する予定である。
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