我々は新生児低酸素性虚血性脳症(HIE)モデルラットにラット臍帯血幹細胞を移植するというラット同種移植系を用いて、臍帯血幹細胞が周生期脳障害を軽減させることを報告した。本研究では、移植臍帯血幹細胞の特性や分化、周生期白質損傷に対する臍帯血幹細胞の効果について検討することを目的としている。 今年度は臍帯血幹細胞のコンドロイチン硫酸(CS)糖鎖組成について検討した。 ラット胎仔臍帯血より有核細胞層を分離増殖させ、幹細胞リッチな細胞群 (Stem cell enriched umbilical cord blood cells; SCE-UCBC)を得た。この細胞群のCS糖鎖分析を行ったところ、約80%以上が低硫酸化型のA-unitであったが、約2%程度の高硫酸化型E-unitを含むことがわかった。高硫酸化型CS糖鎖はさまざまな栄養因子や増殖因子と結合し、その活性を増強することが知られている。また、Colony forming cell assayを行ったところ、CS-A投与群に比較してCS-E投与群ではコロニー形成細胞の割合が減少した。臍帯血幹細胞はheterogeneityな細胞集団であることから、CS糖鎖が一部の幹細胞の増殖・分化などの生物学的機能に関与している可能性が示唆された。
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