GLUT1遺伝子を過剰発現させた遺伝子改変動物では、糖尿病性腎障害に類似した病理所見を呈したことから、GLUT1遺伝子の発現量は厳密に制御される必要があると考えられている。遺伝子発現量を制御できない遺伝子補充治療では、糖尿病様血管障害を引き起こすリスクが懸念される。また、治療標的である脳血管内皮細胞は分裂能を有しており、反復投与のできない治療法では、治療効果の持続性に疑問が残る。本研究で同定された薬剤は、長期にわたり臨床で使用されている実績のある薬で、薬物動態や注意すべき副作用についての知見は蓄積している。有効性が確認されれば、GLUT1欠損症への適応拡大を目指す臨床治験が可能と考える。
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