研究課題/領域番号 |
19K08270
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
植松 貢 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (90400316)
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研究分担者 |
植松 有里佳 (沼田) 東北大学, 大学病院, 特任助手 (70735779)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 先天性大脳白質形成不全症 / ミトコンドリア / 低分子RNA / Direct reprogramming |
研究実績の概要 |
本研究では、①Direct reprogramming法によりPNPT1遺伝子異常症例の線維芽細胞から、神経細胞に加えてオリゴデンドロサイトなどへの分化誘導する系を確立しその病態解析を行う、②ラットやマウスの中枢神経や末梢神経の培養組織においてPNPT1やPOLR3Bなどの遺伝子をノックダウンして病態解析を行う、③ ①の系を用いた簡便な治療薬スクリーニングの系を確立する、ことを目的としている。 本年度はまずDirect reprogrammingh法を用いて、患者由来線維芽細胞から神経細胞やオリゴデンドロサイトなどへの分化誘導する系を確立し病態解析を行うことを第一目標として解析を行った。今年後の研究で、コントロールの患者の線維芽細胞からは、順調に神経細胞へ分化し、各種解析が可能な系を確立できた。しかし。患者由来の線維芽細胞はミトコンドリア機能障害のために増殖が非常に遅く、さらにDirect reprogramming法で神経細胞に分化すると、早期にアポトーシスに陥るため、免疫染色やタンパク定量など、病態解析に必要な解析が困難であった。 次に、ラットの脊髄後根神経節細胞を培養し、末梢神経の培養組織において低分子RNAに関連する遺伝子をノックダウンして解析を行った。その結果、PNPT1やPOLR3A, POLR1CをsiRNAでノックダウンして培養すると、後根神経節からの神経軸索の成長が障害され、さらに髄鞘も形成されないことを、免疫染色にて確認した。同様の解析を中枢神経でも行うため、ラットの脳から採取した脳細胞の培養でオリゴデンドロサイトの観察を試みたが、系の確立にまだ至っていない。上記の系をまず確立して薬剤スクリーニングを行う予定である。上記研究について、国際神経学会2019年10月20-25日にシカゴで行われたNeuroscience 2019にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
PNPT1遺伝子異常を有する患者由来の線維芽細胞や、それからDirect reprogrammingを用いて分化させた神経細胞の増殖速度が遅く、早期にアポトーシスに陥ってしまうため、機能解析や薬剤スクリーニングに用いることができる条件がまだ整っていない。
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今後の研究の推進方策 |
2019度の問題点を踏まえ、①Direct reprogrammingの各種条件の見直し(PNPT1のsiRNA量など)、②ラット末梢神経細胞を用いた系は安定して遺伝子変異をもつ神経細胞と髄鞘の培養を行えているため、これを用いた機能解析や薬剤スクリーニングの研究をさらに進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
ラットを用いた中枢神経の培養に関する研究について、培養系の確立が遅れたため進捗状況が予定より遅れていること、Direct Reprogrammingを用いた神経細胞培養の系についても、薬剤スクリーニングを行える条件がまだ整っておらず、スクリーニング用の薬剤購入などが次年度にずれ込んだ。
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