本研究では、出生直後の血中酸素濃度の上昇が、血管リモデリングを促進して動脈管を閉鎖させる分子機序を明らかにすることを目的とする。 まず、酸素濃度の変化によりラット動脈管平滑筋細胞の遺伝子発現がどのように変化するのかを確認した。胎生後期のラット動脈管から初代培養を行い、ラット動脈管平滑筋細胞を採取した。動脈管平滑筋細胞を低酸素インキュベータで3日間培養した群と、低酸素インキュベータで2日間培養後に正常酸素インキュベータで1日間培養した群をそれぞれDNAマイクロアレイ解析し、遺伝子発現を確認した。 酸素濃度の上昇により、19の遺伝子で1.5倍以上発現が増減した。これらの遺伝子の中から、文献的に他の組織で細胞増殖や細胞遊走に関わりのあるNr4a1遺伝子に着目した。今後、ラット動脈管平滑筋細胞や動脈管組織において、Nr4a1がどのような働きをするのか調査していく。具体的には、Nr4a1の阻害剤や刺激剤、またNr4a1 siRNAなどを用いて、動脈管の閉鎖に関与するのか実験を行う。
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