研究課題/領域番号 |
19K08283
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
村井 法之 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (60300927)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | MYCN / アンチザイム / 神経芽細胞腫 / ポリアミン / プロテアソーム / がん細胞増殖 |
研究実績の概要 |
本年度は、まずアンチザイム2(AZ2)とMYCNの結晶化のための発現系の開発を行った。浮遊系ヒト培養細胞(HEK293E細胞)においてこれらのタンパク質を高発現させるベクターコンストラクトを作成した。発現用に購入した細胞の製品不良による交換やコロナウイルス感染拡大の影響により、これらのタンパク質のHEK293E細胞における発現は、まだ確認できていない。環境が整い次第すぐに再開させる予定である。 一方予定していたAZ2ノックダウン神経芽腫細胞株の遺伝子発現解析は、siRNAによりAZ2をノックダウンしたBE2-C細胞を用いRNAシーケンスにより網羅的に解析した。知財の申請等に関連する可能性があるため具体的な遺伝子名は発表できないが、AZ2をノックダウンすると細胞増殖に関わるある遺伝子群の発現が増加し、またアポトーシスに関連する遺伝子群の発現が低下し、全体として増殖が亢進されることが明らかとなった。さらに、AZ2のノックダウンではMYCNタンパク質の発現が上昇するので、MYCNのターゲット遺伝子の発現に注目したところ、非常に関連のある遺伝子群の発現が上昇していた。今後タンパク質レベルでの発現とリンクしているか解析する必要がある。 AZ2とMYCNの相互作用部位の解析は、MYCNの部分欠失変異体を作成し、培養細胞にAZ2と共発現させ免疫沈降法により解析した。MYCNのAZ2結合部位の候補が明らかとなりつつある。さらに詳細な解析できていないが、AZ2ノックダウン神経芽腫細胞株のメタボローム解析も行い、AZ2発現抑制による代謝物の変化の解析も進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
やや遅れているのは、哺乳細胞における結晶化タンパク質の高発現系開発である。発現コンストラクトはすでに完成したが、購入した培養細胞に増殖不良があり、製品を交換することになったが、メーカーとの製品不良の確認や納期(輸入のため)で2か月くらい進行が遅れた。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたことが重なった。今後環境が整い次第再開する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で実験がストップしていたが、環境が整い次第すぐに再開する予定である。本年度は結晶構造解析のための哺乳細胞におけるAZ2とMYCNの発現系をと精製法の確立を行う。哺乳細胞で思うような発現量や精製度が得られない場合は、バクテリアの系で行う予定である。大腸菌用のコンストラクトは作製中である。昨年度の遺伝子はて現解析からAZ2のノックダウンで変化するMYCN関連の遺伝子群について、タンパク質レベルの発現解析を行っていく予定である。さらにAZ2とMYCNの相互作用部位を決定しAZ2によるMYCNの分解に必要な最小部位を決定したい。AZ2ノックダウン神経芽細胞腫細胞株のメタボロームデータを詳細に解析し代謝レベルでどのような変化が起きているのか明らかにする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会への参加を見合わせたため。 今年度の遺伝子解析により明らかになった結果のタンパク質レベルでの解析を行うため抗体などを購入予定である。その他は次年度の計画通りに使用する予定である。
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