研究課題/領域番号 |
19K08284
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
荻原 郁夫 日本医科大学, 医学部, 准教授 (30373286)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 電位依存性ナトリウムチャネル / タンパク複合体 / てんかん / 自閉症 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、電位依存性ナトリウムチャネルNav1.1と相互作用して複合体を形成するタンパク分子を同定し、Nav1.1の細胞内輸送局在制御とチャネル機能制御の機構を明らかにするとともに、Nav1.1機能の喪失が引き起こす難治性乳幼児てんかん(Dravet症候群)のてんかんとそれに伴った自閉症様行動の治療開発に貢献することである。 6回膜貫通領域ドメインが4回繰り返された24回膜貫通型タンパクであるNav1.1において、N末端とC末端、そしてドメイン間ループが細胞質側に突き出ている。これら細胞質側領域のうち、複数のリン酸化部位があるI-IIループとEFハンド様モチーフがあるC末端の2領域を選び、部分タンパクを発現するHAタグ付きベクターを作製した。同時に、以前の研究からNav1.1と相互作用する可能性が想定されたタンパクA, タンパクB, カルモジュリン, FGF13についてV5タグ付き発現ベクターを作製した。そして、これら発現ベクターを培養細胞にトランスフェクションして細胞抽出液を調整し、HAあるいはV5タグの抗体で免疫沈降を施行してウエスタンブロット法で解析した。その結果、タンパクAとタンパクBはC末端領域ではなくI-IIループを介してNav1.1と相互作用することが示唆された。推定リン酸化部位をアラニンに置換したI-IIループでもタンパクAとタンパクBとの相互作用が検出された。タンパクAとタンパクBは抑制性の神経細胞で発現がある。カルモジュリンはNav1.1のC末端と結合し、IQモチーフの変異によって相互作用が完全に阻害され、以前の結果が確認された。FGF13はアミノ酸配列上からNav1.1のC末端と相互作用することが想定されたが、本研究ではその相互作用を検出することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予想していたFGF13とNav1.1C末端領域の相互作用が検出できなかったので、実験的な不具合でそのような結果になったことを否定する追加実験を行う必要が生じた。 従来の全長型Nav.1.1発現ベクターは強制発現系において発現量が極めて低いので、コドンパターンを改良して翻訳効率をあげるコンストラクトの作製を試みたが、想定したようにはならなかった。
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今後の研究の推進方策 |
HEK293細胞と初代神経培養細胞を用いた免疫組織化学、分子細胞生物学ならびに電気生理学的解析手法により、タンパクAとタンパクB、FGF13がNav1.1の細胞内局在やチャネル機能に及ぼす影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)牛胎児血清を含む細胞培養関連試薬やトランスフェクション関連試薬、PCR関連試薬、ウエスタン関連試薬は大学研究室配分研究経費で購入したものの中から一部を使用させてもらった (使用計画)細胞培養関連試薬、トランスフェクション関連試薬、標本作製用器具、電気生理学的解析試薬を購入する。
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