研究課題
ドラベ症候群は乳児期に発症するてんかん性脳症で、治療抵抗性の発作と発症後の発達遅滞を特徴とする。この疾患の主因は電位依存性ナトリウムチャネルα1をコードするSCN1A遺伝子の変異であり、α1機能不全が抑制性出力を減弱させて脳の興奮性を高めることで発作が発現するとされている。本研究は、電位依存性ナトリウムチャネルα1と複合体を形成する新規タンパクの中でも、抑制性神経細胞における発現が報告されている線維芽細胞増殖因子相同因子とタンパク質Aを解析した。線維芽細胞増殖因子相同因子について、従来の研究は、電位依存性ナトリウムチャネルのC末端側に結合するとし、一方で、α1は、例外的に、結合ドメイン配列を有するのに線維芽細胞増殖因子相同因子とは結合しないと報告していた。しかしながら、本研究は、α1のC末端ではなく細胞質ループが線維芽細胞増殖因子相同因子と結合することを示した。培養細胞にα1と線維芽細胞増殖因子相同因子を強制的に共発現させたホールセルパッチクランプ法は、線維芽細胞増殖因子相同因子がα1の電気生理学的性質を変化させなかった。タンパク質Aについて、線維芽細胞増殖因子相同因子と同様に、α1の細胞質ループに結合することを見出した。線維芽細胞増殖因子相同因子とタンパク質Aがα1の同じ領域に結合することから、これらタンパク質の相互作用がα1活性を調節する可能性が示唆された。また、分泌タンパク質Bもα1に結合することも見出し、細胞外からα1の機能が調節できる治療標的になる可能性が示唆された。
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bioRxiv
巻: 2021 ページ: 437794
10.1101/2021.03.31.437794