研究課題/領域番号 |
19K08289
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
松本 浩 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 小児科学, 講師 (00536229)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | DNM1L / Leigh症候群 / iPS細胞 / ミトコンドリア |
研究実績の概要 |
DNM1L異常によるLeigh症候群発症の病態機序を解明するため、2019年度は患者由来iPS細胞を用いて以下の研究を行った。 1)疾患由来神経細胞におけるミトコンドリア形態の評価:DNM1L遺伝子変異を有する患者由来iPS細胞をQuick Neuronを用いて神経細胞へ分化させた後、mito tracker Red, NAOによる細胞染色を行い、疾患由来神経細胞のミトコンドリアの構造評価を行った。Aspect ratioを用いた評価では、疾患由来神経細胞ではコントロールと比べてミトコンドリア形態異常が有意に多い結果を得た。 2)疾患由来神経細胞におけるミトコンドリア膜電位の評価:コントロールおよび疾患由来神経細胞において、mito tracker Red, Greenによるミトコンドリア染色を行い、蛍光顕微鏡で観察することにより神経細胞におけるミトコンドリア膜電位について評価した。疾患由来神経細胞ではコントロールと比べ、ミトコンドリア膜電位が低下していることが示された。また別の評価方法として、JC-1染色によるコントロールおよび疾患由来神経細胞のミトコンドリア膜電位の評価も行っており、現在結果について検討している。 3)疾患由来神経細胞のmitophagy評価:コントロールおよび疾患由来神経細胞について、CCCP添加により細胞の酸化的リン酸化を阻害しmitophagyの誘導を行った。Mitophagy Dyeによる染色を行った後に蛍光顕微鏡で観察し、コントロールおよび疾患由来神経細胞内におけるmitophagyの差について検討した。神経細胞内に観察されるmitophagyについて、コントロールと疾患由来神経細胞で有意な差は認められず、mitophagy誘導の条件などについて検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
患者由来細胞からiPS細胞の樹立、iPS細胞から神経細胞への分化へと、研究の基礎となる実験系の構築は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
・ミトコンドリア形態および膜電位の評価について、定量的な観点から再評価を行う ・分化させた神経細胞のATP産生能、活動電位などについて、新たに実験系を組み評価を行う ・DNM1L異常による神経細胞の機能について、多方面からの評価を行い、疾患発生のメカニズムについて考察を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2019年度は物品費など予定よりも使用額が少なかったが、2020年度において物品費、旅費、その他で使用予定あり。また雇用費については、今年度に計上することになった。
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