研究課題/領域番号 |
19K08296
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
川本 典生 岐阜大学, 医学部附属病院, 講師 (50397337)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | アレルゲン / ペプチド / 抗原提示 |
研究実績の概要 |
今年度は培養細胞を用いて、抗原提示細胞に提示をうけたペプチドの解析を行うシステムの確立を目指して研究をおこなった。最終的にペプチドの検出までに多くのステップがあり、抗原提示を受けたペプチドは相当少ないことが予想されることから、今年度は培養細胞を用いて検討をおこなうことで、方法の確立を目指した。ヒト単球系細胞株THP-1をPMAとIL-4存在下で4日間培養することで樹状細胞様の細胞に分化させた。この細胞にアレルゲンを添加し、一定期間後に回収して細胞表面のCD80, CD86分子などの発現をフローサイトメトリーで確認した。また、同様に誘導した樹状細胞様の細胞をアレルゲンで刺激した細胞のセルライセートをホモジナイズした。アレルゲンとしては、牛乳のカゼインを用いて研究をおこなった。アレルゲンは抗原提示細胞に発現したMHC class II分子に結合した形で抗原提示されることが知られている。そこで、このライセートを当初の計画では先行する文献に倣ってクロマトグラフィーでMHC class II抗体を用いて採取した。しかし、先行論文ではより大きい組織を用いた研究であったが、培養細胞においてはスケールがさらに小さいことから、より効率の良い方法をめざし、磁性ビーズを用いて共免疫沈降を行うことに変更した。クロマトグラフィーや共免疫沈降には抗MHC class II抗体を用いた。この方法で、複数回のLC/MS解析をおこなったところ、今後の十分なバリデーションは必要となるものの、刺激したアレルゲンの配列に合致する情報が検出された。今後さらに条件の検討が必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行する論文に倣ってクロマトグラフィーでペプチドの分取を試みたが、先行論文は組織などの大量に細胞が得られるサンプルを扱っているのに対して、今回の研究では培養細胞を大量に使っても得られる組織の量としては限られていることから、磁性ビーズを用いた共免疫沈降を用いた系に切り替えを行った。この技術の安定化などに予想以上の時間がかかった。おおむね順調ではあったが、もう少し条件の検証などが必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は次のステップとしてより採取できる組織の量が少ないヒトの末梢血を用いた検討を計画していたが、まずは、磁性ビーズを用いた系の安定化に取り組む必要があると考えている。刺激剤の種類や刺激の条件などの検討を繰り返す事を第1に取り組む予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
クロマトグラフィーを用いた検討を計画していたが、スケールダウンする必要があったため、磁性ビーズによる共免疫沈降に切り替えた。これらのことにより一部計画の変更があったため。
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