研究課題/領域番号 |
19K08299
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
西小森 隆太 久留米大学, 医学部, 准教授 (70359800)
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研究分担者 |
井澤 和司 京都大学, 医学研究科, 助教 (90634931)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自己炎症性疾患 / TNF受容体関連周期性症候群 / 自己炎症症候群 / iPS細胞 / マルチオミックス解析 |
研究実績の概要 |
TNF受容体関連周期性症候群(TNF receptor-associated periodic syndrome, TRAPS)は5日以上持続する弛張熱、漿膜炎を特徴とする自己炎症性疾患で、炎症の分子機序ならびに診断に有用なバイオマーカーが未同定である。本研究では、TRAPSの患者検体、疾患特異的iPS細胞に対してオミックス解析を行うことにより、TRAPS炎症病態の解析ならびに再現系構築を行う。 今年度は、自己炎症性疾患患者コホートからTRAPS患者2名をリクルートした。同TRAPS患者2名から疾患特異的iPS細胞を作成し、細胞ストックを保存した。次に、疾患特異的iPS細胞から単球・マクロファージへ分化をおこなった。さらに、マクロファージ分化因子であるcMYC, BMT1, MDM2を強制発現させることによりM-CSF依存性に増殖するマクロファージ細胞株iPS-MLを作成した。また、2名の健常正常コントロールからも同様に、iPS細胞ならびにiPS細胞-MLを作成した。 TRAPSの炎症機序を解析する為、トランスクリプトーム・プロテオーム・リピドミクスを含むマルチオミックス解析を行う準備として、TRIZOLを用いてRNA解析ならびにプロテオーム解析を行う末梢血細胞検体プロトコールを構築した。実際、正常末梢血から、単球、好中球、T細胞、B細胞を分取して、トランスクリプトーム解析を行った。また研究協力者小原の協力を得て、タンパク質レベルでのマーカー探索に向けて、ナノクロマトグラフィー条件とデータ非依存的質量分析モードの最適化を行い、高再現性の定量プロテオミクスの系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
京都大学から久留米大学へ異動した事に伴い、研究室の立ち上げ等があり、研究は予定より若干遅れている。それに伴って、研究費の使用も予定より少なく、2020年度に持ち越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
主任研究者の異動に伴う遅れが若干生じているが、研究を進めていく基盤は構築できつつあり、疾患特異的iPS細胞、ならびにその細胞由来の単球細胞株を形成できた。今後、同細胞を用いて、疾患特異的なシグナル伝達系の同定を進めていく予定である。またオミックス解析のための検体処理のプロトコールは作成され、トランスクリプトーム解析、プロテオーム解析の基盤構築は順調に進んだ。今後、実際の解析を行いデータを集積するとともに、既知単球細胞株の疾患特異的なTNFRSF1A遺伝子変異導入、より詳細な解析をおこなっていく。また、患者数を増やして、得られた知見が一般化できるかの検討も進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
京都大学から久留米大学へ主任研究者が異動したため、実験計画の遅れが生じた。その分、使用した研究費が少なく、次年度使用額が生じた。研究体制の整備が完了したため、遅れた研究については、2020年度に追いつく予定である。
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