研究課題/領域番号 |
19K08303
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
川崎 幸彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (00305369)
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研究分担者 |
郷 勇人 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (30443857)
陶山 和秀 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (90423798)
長岡 由修 札幌医科大学, 医学部, その他 (50513967)
石井 玲 札幌医科大学, 医学部, 助教 (60783868)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | HUS / FSGS / miR-21 / 腎線維化 |
研究実績の概要 |
[背景]] 急性・慢性腎障害における腎線維化の進行は、腎臓機能低下と密接な関係があることが示唆されているが、現在まで腎線維化を阻止しうる有効な治療薬は未だ開発されていない。一方、miR-21は、線維化に関連の強いTGF-βを調節する重要なmiRNAであり、TGF-βを介して虚血性腎障害後の腎繊維化に関連することが示されている。しかしながら、溶血性尿毒症症候群(HUS)などの急性腎障害や巣状分節性糸球体腎炎(FSGS)などの慢性腎障害後の炎症進展と線維化形成におけるmiR-21に関する報告は少ない。私達は、HUSや巣状分節性糸球体腎炎の動物モデルを作製し、腎障害時のmiR-21の推移と病態との関連性について評価しmiR-21ノックアウトラットを用いてFSGS病変を惹起しmiR-21の役割について検討した。 [方法] LPS(300μg/kg)+ Shiga Toxin2(225ng/kg)を単回腹腔内に投与することでHUSマウスを、アドリアマイシンをラットに投与することでFSGSラットを作成し腎内のmiR-21発現量を測定しコントロール群と比較した。さらにmiR-21ノックアウトラットにFSGSモデルを惹起し蛋白尿量と腎機能の変化について検討した。 [結果]1)HUSマウスとFSGSラットでは、それぞれ発症72時間後のmiR-21発現量がコントロール群と比較して有意に高値を呈した。2)さらにmiR-21ノックアウトラットにFSGSモデルを作製するとコントロール群と比較して有意な蛋白尿の減量と血清クレアチニンの低下が認められた。 [結論] HUSマウスやFSGSラットの発症時にmiR-21の発現量が増強し、miR-21ノックアウトラットへのFSGS病変惹起にて病態の軽症化がみられたことから、HUSやFSGSの発症病態へのmiR-21の関与が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究初年度における令和1年度においては、急性腎障害モデルであるHUSマウスとFSGSラットの発症病態にmiR-21が関与する事が明らかになり、さらにmiR-21ノックアウトラットへのFSGS病変惹起にて病態の軽症化が示された。このような研究結果から、急性腎障害発症病態におけるmiR-21の関与が明らかになったため上記と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今後、急性腎障害モデルであるHUSマウスとFSGSラットの発症病態にmiR-21がどのような機序にて関与するかを明らかにするために、病変発症後の経時的な組織変化、各種血中、腎臓組織中のケモカインやサイトカイン、腎硬化に関与するマーカーとmiR-21との関連性についてより研究を進める予定である。
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