研究課題
周産期に母胎が受けるストレス要因が考えられる脳室周囲白質軟化症(PVL)と発展上にある脳性まひなどの神経学的発達障害の薬理治療と行動療法をマネージメントする複合療育法の開発を目指すに当り、心身ストレス環境負荷の影響に関わる生物基盤の解明が鍵となる。本霊長類療育モデルの開発計画において地球上の生物が慢性的に環境リズムの影響を受け、進化上で遺伝子基盤に刻まれる概日周期性に関して考慮している。コロナ禍の現代環境でも社会脆弱性として規制対象因子である概日リズム破綻により引き起こされるストレスの心身発達への影響に関する調査を行った。特に社会性生物、人間の発達期における心身機能障害の典型症状として、社会環境への不適応行動が挙げられる。そこで、概日リズム環境破綻を照明により誘導した雄19、雌9頭のコモン・マーモセットの同世代社会環境への応答行動の発達推移を定量的に追跡可視化し、変異の発見と留意すべき候補病因を探索することを目標とした。対照群①12時間明暗制御群に対し、②生後から恒常照明リズム破綻、③離乳(約2ヶ月齢)~児童相同期(約5ヶ月齢)の特異期リズム破綻、④推定児童相同期以降~思春期相同齢(約8ヶ月齢)破綻の4群を比較した。若齢成体期(約1年)の発達結果を社会行動応答パターンで定量比較したところ、各群の社会行動が互いに相関推移の整合性を示しつつ全群間で有意に異なり、各概日リズム破綻のストレス応答基盤の特異齢依存性が示唆された。①定型群にたいし、②生後早期破綻群は霊長類の典型活動である高位指向活動の減弱とネガティブな情動性行動の亢進、③離乳前後期の破綻群は低位嗜好性と不動傾向、④児童期相同期の破綻群は不動傾向や高位でも逃避指向の傾向を示した。神経機能発達支援において、段階的かつ連続した概日リズム環境因子の考慮の重要性が、コロナ禍ストレスで関連が深い現代において警鐘を鳴らす結果を得た。
3: やや遅れている
コモンマーモセットのmatingが当初期待していたほどの数を得られなかった
施設内で飼育施設の改良が現在進行中であり、今後は現在よりもmating数が増加し研究対象となる新生仔の増加が期待される。
マーモセットのmatingが予想を下回り、飼育にかかる経費が余剰金となった 次年度は新たな飼育環境にてmating数の増加が見込まれる
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