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2020 年度 実施状況報告書

胎児が制御する羊膜・絨毛膜の恒常性維持機構とその破綻

研究課題

研究課題/領域番号 19K08307
研究機関東海大学

研究代表者

石本 人士  東海大学, 医学部, 教授 (10212937)

研究分担者 亀谷 美恵  東海大学, 医学部, 准教授 (50338787)
後藤 優美子  東海大学, 医学部, 助教 (50624574)
宮澤 昌樹  東海大学, 医学部, 客員講師 (30624572)
柏木 寛史  東海大学, 医学部, 助教 (10710460)
宮澤 麻里子  東海大学, 医学部, 特定研究員 (80637091) [辞退]
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワードミッドカイン
研究実績の概要

本研究の目的は、ヒト胎児由来のシグナルにより分娩のタイミングが決定されるとする胎児シグナル説を検証し、妊娠維持・分娩発来機構を制御する胎児シグナルの存在を示して制御機構の分子的基盤を明らかにすることである。具体的なテーマとしては、成長分化因子 midkine(MDK)の役割、由来と調節機構の解明である。これまでに妊娠進行によりヒト羊水中MDKが減少すること、ヒト羊膜上皮細胞培養系ではrhMDKによりCOX2 mRNA発現とPGE2産生が濃度依存的に抑制されること、が判明している。今回、羊水中MDKの由来候補である胎児肺でのmRNA発現量についてreal time RT-PCR法を用いた解析を行い、妊娠32週以降の胎児肺では、妊娠中期(妊娠32週未満)に比べて有意に低発現であることが示された。これに呼応するように、商業的に入手したヒト胎児肺切片を用いた免疫組織染色では、妊娠中期では肺胞上皮に一致してMDK陽性であったが、妊娠末期ではMDK発現はほぼ見られなかった。また肺胞上皮細胞株であるA549細胞に、合成糖質コルチコイドdexamethasoneを添加したところ、量依存的な二相性の変化が認められ、低濃度添加ではMDK mRNAの発現増強、高濃度添加では発現抑制が見られた。MDKは我々の予備的検討から胎児副腎の主要糖質コルチコイドであるコルチゾールの産生抑制をおこすと考えられるが、近年齧歯類では逆に胎児肺MDK の発現が糖質コルチコイドにより抑制されていることが示されている。今回のA549細胞での結果はこれと合致する。妊娠末期には、ヒト胎児血中および羊水中コルチゾール濃度が急上昇することが知られるが、これにより羊水に接する肺胞上皮細胞でMDK産生が減少し、羊水中のMDK濃度が減少し、羊膜上皮を介したMDKの妊娠維持作用が減弱する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

COVID-19のため海外からの実験試薬の納入が滞り、特にrealtime RT-PCR関連試薬や抗体、消毒薬が供給不安定で、関連する実験が影響を受けた。

今後の研究の推進方策

2020年度4月から研究補助員を雇用し、研究推進に向けた体制強化を図ったが、この実験手技も安定してきており、実験試薬供給体制が安定すれば、円滑な研究の進捗が期待される。また実験試薬に関する物流の安定も期待できる。

次年度使用額が生じた理由

(理由)
2020年度には、COVID-19の影響による世界的な物流の障害により、一部実験試薬の供給不足となり、これに関連する実験の進展に遅れが生じた。このため、その分の購入に必要だった額を今年度にまわすこととした。
(計画) 2021年度は、2020年度より新たに雇用した研究補助員の実験手技も安定化しており、これに試薬供給の安定化が期待されるので、やや遅れていた部分の細胞生物学、分子生物学実験を精力的に進めることができると考えている。
基金のメリットを活かし、繰越金と2021年度分の補助金を効率的に支出し、研究を進めていく予定である。

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公開日: 2021-12-27  

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