研究課題
心臓流出路構成細胞の1つである心臓神経堤細胞(後耳胞神経堤細胞)と我々が見出した前耳胞神経堤細胞が寄与する心臓流出路の弁構造に着目して検討を行った。材料は神経堤細胞マーカーWnt1-Creマウスと鳥類胚(ウズラとニワトリ)である。前者のマウスはレポーターマウスR26Rとの交配でできたマウス胎仔心を X-Gal染色してWnt1陽性神経堤細胞を検討した。後者の鳥類では、ステージHH8-9ウズラ胚の後耳胞神経堤細胞を予め同じ場所を切除したニワトリ胚に移植後、6-10日胚で採取しパラフィン切片を作成し、ウズラ特異抗体QCPNでウズラ神経堤細胞を検討した。その結果、マウスでWnt1陽性神経堤細胞は半月弁、すなわち大動脈弁、肺動脈弁のnon coronary 弁以外の2弁に全体に強く分布していた。non coronary 弁に分布する量は他2弁に比べて少ない。一方、鳥類では前耳胞神経堤は大動脈弁、肺動脈弁の3弁に全体に分布を認めたが、後耳胞神経堤は肺動脈弁3弁に全体に分布を認めたが、大動脈弁は左大動脈弁にのみ分布していたが、他2弁には後耳胞神経堤の分布が認められなかった。これらデータをamiraソフトで3D立体構築して確認した。原羊膜壁側中胚葉については、ウズラーニワトリ移植キメラ胚の解析により鰓弓から心臓にかけて広範囲に分布し、特に鰓弓では甲状腺内の血管にも分布していた。原羊膜壁側中胚葉細胞は、心筋細胞、平滑筋細胞、心臓間質細胞、血管内皮細胞など様々な細胞に分化する。in vitro培養でFGFとVEGFシグナルが血管内皮細胞への分化を促進していることが示唆された。また、このキメラ胚を利用して原羊膜と胚内に移行した原羊膜由来細胞のシングルセル RNAseq 解析を行 ったところ、ヘテロジェネイティを認め、ヘモアンジオブラスト様細胞集団を認めた。このことから、原羊膜壁側中胚葉細胞でFGFからVEGFへのスイッチが起こり甲状腺内で血管を形成することが示唆された。
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