研究課題
活性化PI3K delta症候群(APDS)をはじめとする機能獲得型変異による疾患に対するゲノム編集では、変異アレルのみを編集する必要がある。変異アレル特異的な認識と編集の開発のため、APDSの原因となるPIK3CD遺伝子のホットスポット変異であるE1021Kを片アリルにもつT細胞株を樹立した。片アレルの機能獲得型変異によることから樹立した細胞に対して、変異部位がシード配列に位置するようガイドRNAを設計し、変異アレルのみの認識と破壊を試みた。複数のガイドRNAを設計し、各ガイドRNAにおける切断効率を、次世代シーケンサーを用いて解析した。その結果、最も効率の高い条件では、80%程度のindel挿入が可能であり、indel挿入によるフレームシフトの誘導は70%であった。APDS患者では、PI3K/Aktシグナルの恒常活性化が起こることから、変異アレルの破壊によるシグナル伝達の正常化に関して、患者細胞を用いた解析を実施した。まず、ホットスポットであるE525KおよびE1021Kを持つAPDS患者よりT細胞株を樹立した。これらの細胞株では、健常人由来T細胞株に比較し、Aktのリン酸化の亢進が認められた。次に、各変異に対して同様にゲノム編集を実施したところ、70-80%の効率で変異荒れる特異的なindel挿入が可能であった。これらの細胞におけるAktのリン酸化を解析したところ、ゲノム編集前の患者T細胞に比べて、リン酸下の低下が認められた。一方で、本来2copy存在するPIK3CDの方アレルを破壊することから、haploinsufficiencyによる影響が出る可能性もある。In vivoにおける解析のため、ヒトPIK3CD遺伝子変異に対応する変異を持つマウスの作製を行なっている。
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