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2022 年度 実施状況報告書

脊髄性筋萎縮症の早期診断法の確立に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K08316
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

水野 朋子  東京医科歯科大学, 東京医科歯科大学病院, 助教 (90765398)

研究分担者 今井 耕輔  東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (90332626)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード脊髄性筋萎縮症 / 新生児マススクリーニング / SMN1遺伝子 / SMN蛋白 / 原発性免疫不全症
研究実績の概要

脊髄性筋萎縮症(Spinal muscular atrophy:以下SMA)は脊髄前角細胞の変性によって、進行性に筋萎縮、筋力低下を呈する疾患である。I型(WerdnigHoffmann病)が最も重症で頻度が高く、自然歴ではほぼ寝たきりとなり、人工呼吸管理が必要となる。SMAの責任遺伝子はSMN1遺伝子であり、SMN1の両アレルの欠失あるいは変異により発症する。SMAは従来根本的な治療法のない疾患であったが、近年核酸医薬、遺伝子治療薬が相次いで発売された。いずれも有効性は高いが、症状発症後に投与しても効果は限定的であり、予後改善のためには新生児マススクリーニングを行い、症状発症前に診断、治療することが患者のメリットになると考える。
我々は現行の新生児マススクリーニングで採取された濾紙血を使用し、原発性免疫不全症のスクリーニング(定量PCR法によるTREC、KRECの測定)に取り組んできた。SMN1遺伝子のコピー数は定量PCR法を用い、TREC、KRECと同じキットで測定することが可能である。我々はまずはSMA患者、保因者、健常者の検体を用いて、SMN1遺伝子を測定し、PCRキットの有用性を明らかにした(2020年度)。2021年度は、精度評価を行いつつ、他県で既にSMA新生児マススクリーニングを開始した地域にPCRキットを提供した。2022年度は、当大学で出生し新生児科に入院になった児を対象に、SMAマススクリーニングのパイロットスタディを行った。特に問題なく施行でき、陽性例はいなかった。2023年4月からは、東京都でSMAを含めた拡大新生児マススクリーニング事業が開始となる。それに向けて、手引きの作成や講演、説明会などを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自施設でPCRキットを用いた、拡大新生児マススクリーニングのパイロットスタディを実施できた。社会的要請もあり、2023年度からは東京都で拡大新生児マススクリーニングが事業化される。

今後の研究の推進方策

2023年度から、東京都で事業として拡大新生児マススクリーニングが提供される。準備が整った施設から順次参加する形となるため、多くの施設が迅速に参加できるよう手引きの作成、学会活動や講演会での啓蒙を行っていきたい。また現在は任意有料の検査であるが、いずれ公費となるよう自治体や厚労省への働きかけを行っていく。

次年度使用額が生じた理由

消耗品購入にあたり、差額が生じた。次年度の消耗品購入に充てる。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 3件)

  • [雑誌論文] Newborn screening for spinal muscular atrophy in Osaka -challenges in a Japanese pilot study.2023

    • 著者名/発表者名
      Kimizu T, Ida S, Oki K, et al.
    • 雑誌名

      Brain Dev

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1016/j.braindev.2023.03.004

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 新生児マススクリーニングによる原発性免疫不全症の診断と治療2022

    • 著者名/発表者名
      谷田けい、今井耕輔
    • 雑誌名

      医学のあゆみ

      巻: 282 ページ: 378-384

    • 査読あり
  • [学会発表] 新生児スクリーニング:タンデムマス法とDNA検査の融合「免疫不全症スクリーニングのインパクト)2023

    • 著者名/発表者名
      今井耕輔
    • 学会等名
      第45回日本小児遺伝学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] オナセムノゲンアベパルボベクを投与した脊髄性筋萎縮症I型の3例2022

    • 著者名/発表者名
      水野朋子
    • 学会等名
      第64回日本小児神経学会学術集会
  • [学会発表] どないすんねん!日本の新生児スクリーニングを考える「広がる!原発性免疫不全症スクリーニング」2022

    • 著者名/発表者名
      今井耕輔
    • 学会等名
      第49回日本マススクリーニング学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] 宮城県における原発性免疫不全症および脊髄性筋萎縮症の新生児マススクリーニング検査実績報告2022

    • 著者名/発表者名
      栗原愛、今井耕輔ら.
    • 学会等名
      第49回日本マススクリーニング学会学術集会
  • [学会発表] 免疫不全症新生児スクリーニングとその治療について2022

    • 著者名/発表者名
      今井耕輔
    • 学会等名
      第11回中四国免疫不全症セミナー
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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