研究課題/領域番号 |
19K08326
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
大曽根 眞也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60708717)
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研究分担者 |
細井 創 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20238744)
家原 知子 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (20285266)
今村 俊彦 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30444996)
柳生 茂希 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10572547)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | CAR-T細胞 / KMT2A再構成 / 急性リンパ性白血病 / ピギーバックトランスポゾンベクター / CD19 / FLT3 |
研究実績の概要 |
乳児に発症するKMT2A遺伝子の再構成を伴う急性Bリンパ性白血病(B-ALL)は、化学療法に抵抗性で予後不良である。近年CD19特異的キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T細胞)の有効性が報告されたが、CD19発現の低下と急性骨髄性白血病(AML)への表現型変化による再発が問題となり、リンパ系及び骨髄系細胞に発現する複数の抗原を認識可能なCAR-T細胞の開発が望まれている。我々は、KMT2A再構成を持つAMLがFLT3を高発現していることに着目し、CD19とFLT3を両方認識して殺傷するCAR-T細胞の開発を試みた。 CD19を認識する一本鎖抗体と、膜貫通領域、CD28細胞内ドメイン、CD3z細胞内ドメインをコードする遺伝子をin-frameにクローニングし、これをピギーバックトランスポゾンベクターに組み込んだ。このCAR遺伝子発現ベクターとピギーバック転移酵素ベクターを末梢血単核球に電気穿孔法で導入し、14日間培養してCD19-CAR-T細胞を作成した。CAR発現率はドナーによらず60~80%あり、細胞増殖率も10倍以上と良好であった。 これらのCD19-CAR-T細胞とALL細胞株を、E:T比1:1で3日間共培養し、抗腫瘍効果をフローサイトメトリーで評価した。CD19発現B-ALL細胞株はほぼ100%の抗腫瘍効果を認めたが、CD19陰性のT細胞性ALL細胞株は殺傷せず、CD19特異的な抗腫瘍効果を確認した。 さらに、FLT3抗原に結合しうるリガンドであるFLT3LGまたはFLT3を認識する一本鎖抗体を、膜貫通領域、CD28細胞内ドメイン、CD3z細胞内ドメインをコードする遺伝子をin-frameにクローニングし、これをピギーバックトランスポゾンベクターに組み込んだ。現在これをT細胞に導入してFLT3特異的CAR-T細胞を作製中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ピギーバックトランスポゾン法を用いたCD19-CAR-T細胞作製法を確立できた。また、作製したCAR-T細胞の抗原特異的な抗腫瘍効果を確認することができた。FLT3-CAR-T細胞についても、本手法と同様の方法で作製して効果の検証を行うことが可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
FLT3-CAR-T細胞が作製できれば、FLT3を高発現している細胞株を用いて抗腫瘍効果の検討を行う。さらに、CD19とFLT3双方を高発現する細胞株を用いて、CD19-CAR-T細胞、FLT3-CAR-T細胞と、これらを併用した場合の抗腫瘍効果について、in vitro、in vivoで検証する。 さらにはFLT3-CAR遺伝子、CD19-CAR遺伝子のそれぞれをコドン最適化した上で、単一のトランスポゾンベクターに再クローニングして、一つの遺伝子改変T細胞がCD19とFLT3の双方を認識することができるDual CAR-T細胞の作製を行い、抗腫瘍効果の検証を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に開催されることになっていた日本造血細胞移植学会の旅費等に充てる予定であったが、新型コロナウイルス感染症が流行した影響により本学会の開催が中止となったため旅費等の支出がなくなり、これによって次年度使用額が生じた。次年度の物品費および旅費として使用する計画である。
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