研究課題/領域番号 |
19K08329
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
武内 俊樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60383741)
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研究分担者 |
奥野 博庸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (70445310)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 血小板由来成長因子 / 小崎過成長症候群 / 白質病変 / 血管障害 |
研究実績の概要 |
分子生物学的アプローチの成果として、研究計画に従って、PDGFRB遺伝子異常症と過成長を伴う小崎過成長症候群患者の協力を得て、複数の疾患特異的iPS細胞の樹立に成功した。これを用いて、神経堤細胞への誘導を行っている。人類遺伝学的アプローチの成果として、これまで報告されている本疾患患者の臨床表現型についての詳細な検討を研究計画を前倒して行った。その結果、本疾患患者には、研究代表者らが最初に報告したc.1751C>G p.(Pro584Arg)を持つ患者群と、後に報告されたc.1696T>C p.(Trp566Arg)を有する患者群の2つが存在することが示された。さらに、両群間での表現型比較の結果、特に、後頭蓋窩の構造異常について差がある可能性を見出した。また、成人の本疾患患者について、幼児期からの顔貌の変化を後方視的に検討したところ、皮下脂肪組織の減少により早老症様顔貌を呈する可能性が見いだされた。以上の知見を、研究代表者を筆頭著者、共同研究者である奥野博庸博士を共著者として、英文論文として国際学術誌American Journal of Medical Genetics Part C誌に発表した。また、研究代表者は、本疾患を含めた新規ヒト疾患の確立に対して、川野小児医学奨学財団から第20回小児医学川野賞を授与された(受賞演題名「武内・小崎症候群を含む新規ヒト4疾患の発見と治療法の開発に向けた病態解明」)。既に連携を開始していた欧米の研究者に加えて、イタリアの研究者からも本疾患についての問い合わせがあり、共同研究を開始した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画にしたって、本疾患の分子遺伝学側面と、人類遺伝学的側面から研究が進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画に従って、分子遺伝学的アプローチとして、疾患特異的iPS細胞から誘導した標的細胞組織に、経口チロシンキナーゼ阻害薬を投与し、細胞形質変化の解析を行う。人類遺伝学アプローチとして、PDGFRBの遺伝子型 (p.Trp566Argおよびp.Pro584Arg) の差による過成長や骨格症状の経時的変化を国内外の患者について症例を集積しさらに詳細に解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が効率的に進捗したこと、また、予定していた学会参加を取りやめたため。次年度以降に合算して使用する予定である。
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