研究実績の概要 |
令和元年度の結果から、吸入抗原刺激のみではmiRNAを介した喘息発症のメカニズムとしては十分ではなく吸入抗原刺激に加え、autophagyシグナルが加わることにより、miRNAが分泌され、気管支喘息の発症を引き起こすのではないかと仮説を建てた。令和2年度は気道上皮に吸入抗原刺激を加え、更にautophagyの誘導を加えることでmiRNA量に変化があるかどうかを検討した。具体的にはPoly I:Cの刺激に加え、autophagy inhibitorであるlyn 1604もしくはautophagy inducer であるAICARを加え、qPCRにてmiR595, miR23の変化を観察した。また、HBEC-KT 1x10^6cell/mlにPoly I:Cは10ug/ulに加え、AICARを2mMもしくはlyn1604を20uMを用い、0hr, 24hr, 48hrのmiRNAの増減を評価した。結果としてはautophagy inducer であるAICAR刺激を行った群において48hrのmiR595量が統計学的に有意な上昇を認めた。(p=0.0004)しかしながら、増加率controlと比較して1.4倍前後であり、実際の症状として有意かどうかは不明である。次に我々は前述のautophagyや各々の抗原が近年気管支喘息の発症と強く関わることが報告された、RNase 7, およびb-defensin量の変化に影響を及ぼすかどうかを観察するためにHBEC-KT cellに各種抗原刺激(Lyn 1604, AICAR, 低分子量Poly IC, ALT-E, LPS, YKL, HDM)を加え、ELISAにてRNase 7, b-defensinの変化を検討した。結果としてRNase 7においては有意な差を認めなかったものの低分子量Poly IC刺激においてb-defensin の有意な上昇を認めた。
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