研究実績の概要 |
オートファジーや各々の抗原が感染を契機とした気管支喘息の発症と強く関わることが報告されている、我々は抗菌性タンパク質(RNase 7,ベータディフェンシン)が、各種抗原刺激(Lyn 1604, AICAR, 低分子量Poly I:C, ALT-E, LPS, YKL, HDM)により、どのような影響をうけるかを、タンパクの量を測定することで検討した。結果として、ヒト気管支上皮細胞(HBEC-KT cell)をウイルスの構成因子である、低分子量Poly I:Cにて刺激を行うことで、ベータディフェンシンの有意な上昇をきたすというデータを得ることができた。通常ウイルス感染は、TLR3の経路を活性化することにより液性免疫が活性化されることが知られている。しかしながら、今回、TLR3経路を遮断するTLR3inhibitorを用いてもベータディフェンシンの分泌は変化なく、本経路はTLR3非依存性である可能性が示唆された。また、現在のところ、どのような経路を介して気道上皮細胞からベータディフェンシンが分泌されるかはわかっていないため、当該年度においてはその分泌経路に気道上皮から新たに分泌されたmiRNAが関与するのではないかとの推測のもと、その同定のためmiRNAを網羅的に検索することができるマイクロRNAアレイを行った。具体的には、HBEC-KT cellを低分子量のPoly I:Cで刺激した群、TLR3 inhibitorを前処置後、のPoly I:Cで刺激した群において、miRNAがどのように変化するかをmiRNAアレイにて評価した。結果としてmiR210-5p, miR6891-3p, miR4286, miR4433, miR96の5種類のmiRNAがPoly I:C刺激において増加することが判明した。
|