研究課題
平成31年度は新生児慢性肺疾患モデル動物をもちいた検討をおこなった。新生児慢性肺疾患における肺障害の要因が酸素毒性であることから、新生子ラットに出生直後から高酸素負荷を行う事でモデルを作製した。死亡率、体重増加推移などを参考に酸素濃度や酸素期間を変更してモデル作製をおこなった。酸素濃度を95%、90%、80%、60%の4群に設定して2週間の負荷をおこなったところ、生存率は各々10%、20%、40%、90%であった。次に80%酸素濃度にて負荷期間を7日、14日、28日として負荷をおこなったところ、生存率はそれぞれ100%、60%、10%であった。これらの結果から酸素濃度80%、負荷期間を14日とした。高濃度酸素投与により新生児慢性肺疾患の組織学的変化が起こっているか、新生児慢性肺疾患による肺高血圧症が併発しているかについて組織学的に評価をおこなった。具体的には以下に示す方法でおこなった。肺組織は肺組織体積密度の測定を、肺高血圧症の評価については右室と心室中隔+左室の乾燥重量比を測定した。結果は、新生児慢性肺疾患群で肺組織体積密度の減少がみられ(新生児慢性肺疾患群:24.1 ± 1.5、正常群:29.2 ± 1.4)、新生児慢性肺疾患に特徴的な肺胞組織の破壊が確認された。また、肺高血圧評価については、新生児慢性肺疾患群で右室と心室中隔+左室の乾燥重量比の上昇をみとめ(新生児慢性肺疾患群:0.31 ± 0.034、正常群:0.13 ± 0.0006)、肺高血圧性変化が確認でき、新生児慢性肺疾患から肺高血圧症をきたす動物モデル作製に成功した。
2: おおむね順調に進展している
慢性肺疾患モデルの作製、およびその検討は概ね順調である。
令和2年度は胎児発育不全ラットに酸素負荷をかけて慢性肺疾患モデルを作製する。そのモデルを用いて肺組織の検討をおこなう予定である。
(理由)新生児慢性肺疾患モデル動物の作製が比較的順調に進捗したため、実験動物の購入費用および関係する消耗品の購入費用が予定額より少なくなったため。(使用計画)令和2年度には、Muse細胞投与の効果を検討するため、当初計画より多くの実験動物を購入して、詳細に検討する。
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