研究課題
本研究では在胎期間に比して体格が小さく出生した児(SGA)における新生児慢性肺疾患(CLD)の病態および重症化機序解明を標準体重で出生した児と比較検討することで行う。妊娠17日目のSDラットの両側子宮動脈および卵巣動脈に長さ2.5mm、直径0.24mmのマイクロコイルを装着し、胎児低灌流による子宮内発育遅延モデル(FGR)を作成した。生後15日間83%の高濃度酸素に暴露しCLDモデル(FGR-CLD)を作成し、同時に作成した胎児低灌流モデルではないCLDモデル(Sham-CLD)と比較検討を行った。呼吸機能評価では、FGR-CLDとSham-CLDの間に有意差は認めなかった。右心負荷評価である乾燥心臓重量測定では、Sham-CLDと比較してFGR-CLDで右室と左室+心室中隔比が増加する傾向を認めたが、有意な差には至らなかった。一方、組織学的評価である組織対密度では、Sham-CLDと比較してFGR-CLDにおいて有意な組織対密度の低下を認めた。組織の生化学的評価であるプロテオミクス解析では、FGR-CLDにおいて、酸化ストレスに対する反応と関連するタンパク質に有意な変動を認めた。呼吸機能評価においては、FGRにおける明らかなCLDの重症化を認めなかったが、組織学的評価においては、今までの疫学研究と同様のFGRにおいてCLDが重症化する可能性を示唆する結果を得た。プロテオミクス解析の結果からは、FGRにおいてCLDが重症化する機序として、酸化ストレスが増強している可能性が示唆された。
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