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2021 年度 実施状況報告書

哺乳動物における心腔内メカニカルストレス変化が胎児心臓成熟化に与える影響について

研究課題

研究課題/領域番号 19K08343
研究機関国立研究開発法人国立成育医療研究センター

研究代表者

三好 剛一  国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 臨床研究センター, (非)研究員 (70626697)

研究分担者 細田 洋司  国立研究開発法人国立循環器病研究センター, 研究所, 客員研究員 (40359807)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード胎児心不全 / 先天性心疾患 / 心筋成熟 / 小動物用高解像度超音波イメージングシステム / 胎児胎盤循環 / 遺伝子発現解析
研究実績の概要

哺乳動物において、メカニカルストレスの変化と胎児心臓の分化・成熟の関係については十分検討されていない。本研究では、2系統の胎児心室形成障害マウスの心臓発生過程について、小動物用高解像度超音波イメージングシステムによる血行動態解析法及び組織学的な心筋の分化・成熟の評価法を確立し、心臓発生において心形態異常や心機能低下による心室へのメカニカルストレスの変化が心筋細胞の増殖及び分化に与える影響や分子機構を明らかにすることを目的としている。
前年度に引き続き、2系統の胎児心室形成障害マウスを用いて、小動物用高解像度超音波イメージングシステムによる血行動態解析及び組織学的解析を実施した。
1.Hey2ホモ接合型欠損マウス(hey2-KO)胎仔において心室中隔欠損及び右室低形成を呈し、胎齢と共に左室拡大の進行、両心室の収縮能の低下を認め、胎児心不全モデルマウスとして応用が可能と考えられた。野生型に比べてhey2-KOでは両心室心筋細胞数の減少を認めた一方、胎生後期まで心筋細胞分裂像が認められ、心腔内メカニカルストレスの変化による心筋細胞の増殖期延長が示唆された。心筋細胞の成熟化について引き続き検討予定である。
2.拡張型心筋症モデルマウスの胎仔において、同様に解析を行った。胎生期より両心室の心筋壁の菲薄化が確認されたが、心拡大はなく、両心室の機能も保たれており、胎児心不全モデルマウスとしての応用は難しいと考えられた。
3.Hey2ホモ接合型欠損マウス胎仔を用いた心筋シングルセルRNA-seq解析及びサルコメア構造解析に向けた実験条件を調整中である。
4.近年胎児-胎盤の臓器連関性も指摘されており、胎児心不全の重症化に伴って胎盤の浮腫、異型絨毛などの組織学的変化が生じることを独自に見出している。胎児心不全患者の胎盤絨毛組織の網羅的な遺伝子解析を通じて胎児心不全の遺伝的要因について検討中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

心筋シングルセルRNA-seq解析及びサルコメア構造解析に向けた実験条件の調整に時間を要し、COVID-19感染拡大の影響もあり進捗がやや遅滞している。

今後の研究の推進方策

小動物用超音波イメージングシステムにより、従来困難であったマウス胎仔心臓の機能的評価がリアルタイムに可能であった。拡張型心筋症モデルマウスは胎生期には心不全を呈さなかったが、hey2-KO胎仔は胎児心不全モデルマウスとして応用可能であることが確認された。hey2-KO胎仔の心臓は、心室の壁厚や内腔容積の左右差、緻密化障害が認められる。今後、hey2-KO胎仔を用いて、心筋シングルセルRNA-seq解析とサルコメア構造解析を組み合わせることによって、心臓発生における心筋細胞の分化・成熟に関わる分子機構を明らかにする予定である。さらに、心収縮能改善薬に対する胎仔心室機能の反応性と心筋細胞の遺伝子発現や形態変化との関連性も併せて解析することにより、心臓発生及び胎児心不全の分子メカニズム解明を進めていく予定である。
胎児心不全の重症化に相関性を示す胎盤の遺伝子群を探索することで、胎児心不全と胎児胎盤循環の階層的な病態形成メカニズムという新たな研究課題について取り組む予定である。

次年度使用額が生じた理由

心筋シングルセルRNA-seq解析及びサルコメア構造解析に向けた実験条件の調整に時間を要し、COVID-19感染拡大の影響もあり進捗がやや遅滞したことから、当該助成金が生じた。
当該助成金は、次年度において、心筋シングルセルRNA-seq解析、サルコメア構造解析、及び成果報告(論文投稿、学会出張等)に係る経費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Pediatric Medical Devices ― Survey of Pediatric Cardiologists and Cardiovascular Surgeons in Japan ―2021

    • 著者名/発表者名
      Miyoshi Takekazu、Kato Atsuko、Yasukochi Satoshi、Takahashi Sara、Ho Mami、Yamamoto Haruko、Inuzuka Ryo、Kim Sung-Hae、Sakamoto Kisaburo、Kobayashi Tohru
    • 雑誌名

      Circulation Reports

      巻: 3 ページ: 153~160

    • DOI

      10.1253/circrep.CR-20-0136

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Significance of Atrial and Brain Natriuretic Peptide Measurements in Fetuses With Heart Failure2021

    • 著者名/発表者名
      Miyoshi Takekazu、Hosoda Hiroshi、Minamino Naoto
    • 雑誌名

      Frontiers in Physiology

      巻: 12 ページ: 654356

    • DOI

      10.3389/fphys.2021.654356

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Plasma natriuretic peptide levels reflect the status of the heart failure in fetuses with arrhythmia2021

    • 著者名/発表者名
      Miyoshi Takekazu、Hosoda Hiroshi、Kurosaki Ken-ichi、Shiraishi Isao、Nakai Michikazu、Nishimura Kunihiro、Miyazato Mikiya、Kangawa Kenji、Yoshimatsu Jun、Minamino Naoto
    • 雑誌名

      The Journal of Maternal-Fetal & Neonatal Medicine

      巻: 34 ページ: 1883~1889

    • DOI

      10.1080/14767058.2019.1651271

    • 査読あり
  • [学会発表] 胎児心不全バイオマーカー2022

    • 著者名/発表者名
      三好剛一
    • 学会等名
      第1回日本産婦人科超音波研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 胎児胎盤循環におけるナトリウム利尿ペプチドの代謝2021

    • 著者名/発表者名
      三好剛一、細田洋司、吉松 淳、南野直人
    • 学会等名
      第27回日本胎児心臓病学会
  • [学会発表] Metabolism of atrial and brain natriuretic peptides in the fetoplacental circulation of fetuses with congenital heart diseases2021

    • 著者名/発表者名
      Miyoshi T, Hosoda H, Yoshimatsu J, Minamino N
    • 学会等名
      第73回日本産科婦人科学会
  • [学会発表] 胎児胎盤循環におけるナトリウム利尿ペプチドの分子型及び代謝2021

    • 著者名/発表者名
      三好剛一、細田洋司、吉松 淳、南野直人
    • 学会等名
      第57回日本周産期・新生児医学会
  • [図書] 特集:画像!―エキスパート直伝 産婦人科画像診断―2021

    • 著者名/発表者名
      三好剛一
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      診断と治療社
  • [図書] 国立成育医療研究センター 新産科実践ガイド2021

    • 著者名/発表者名
      三好剛一、左合治彦
    • 総ページ数
      240
    • 出版者
      診断と治療社
  • [図書] CTGエボリューション 胎児生理学からコンピュータ判読まで2021

    • 著者名/発表者名
      三好剛一、池田智明
    • 総ページ数
      200
    • 出版者
      中外医学社

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公開日: 2022-12-28  

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