研究課題/領域番号 |
19K08347
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
山口 清次 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特任教授 (60144044)
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研究分担者 |
竹谷 健 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30359880)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 新生児マススクリーニング / タンデムマス / 疾患発見頻度 / アミノ酸血症 / 有機酸血症 / 脂肪酸代謝異常症 / 障害予防 |
研究実績の概要 |
先天的な代謝異常による障害予防を目的とした「新生児マススクリーニング事業(NBS)」経済発展の著しいアジア諸国で普及しつつある。特にタンデムマスを導入したNBSはアジアでは日本、台湾、中国が先行している。 NBSで発見される疾患頻度は民族や国によって異なる可能性があり、対象疾患は画一的なものではなく、政策にも影響する。一方国際間の疾患頻度重症度等を明らかにすることによって、医学研究共同研究にも役立つ可能性がある。この領域の研究のリーダーシップをとることも可能である。 そこでNBSを導入しつつあるアジア諸国を対象として、マススクリーニングの結果、およびハイリスクスクリーニングの結果を調査している。 調査用紙を12か国に送った。韓国、台湾、中国(北京と上海)、フィリピン、ベトナム、マレーシア、インドネシア、タイ、インド、イラン、オーストラリア、ニュージーランドである。このうち7か国からの調査結果を受け付けている。 現時点で、東アジアと南アジアを比較すると、疾患構造、および頻度が大きく異なることが分かった。さらに調査対象国を増やす予定である(杭州、瀋陽、香港、サウジ)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
12か国以上の国の関係者に、各国の情報を受け付けているが、コロナ肺炎の万円のため、各国の調査活動が遅れる傾向にある。また2020年度中に国際学会で発表して意見を求める予定であったが、キャンセルとなり、当初予定よりも研究進捗が遅れ気味である。しかし7か国からすでに各国の状況について情報をもらっており、短期間のうちに予定の進捗を取り戻せる。
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今後の研究の推進方策 |
マススクリーニング(NBS)は、全ても新生児を対象とするスクリーニングであり、ハイリスクスクリーニング(HRS)は何らかの症状が出た小児を対象として行うスクリーニングである。 NBSは基本的に無症状の状態でかくれた疾患を見つけるものであり、発症前に発見して障害予防の処置を講じる。HRSは症状が出てから診断するものであるため、診断できても障害を残す確率が高い。無症状で見つかる疾患と症状が出てから見つかる疾患では疾患構造が異なる可能性がある。可能ならばHRSのデータを求めた、NBSと比較して、どのような疾患がNBSで多く見つかるか、NBSによる障害予防効果を図りたい。これらを国ごとに比較して、海外に情報発信したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)会議出張費が予定していたよりも少なかった(別の予算でカバーされたものがある) 2)アジアから依頼された生化学分析、遺伝子・分子解析の件数が予定より少なかった
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