研究課題/領域番号 |
19K08349
|
研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
小谷野 耕佑 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20437685)
|
研究分担者 |
安田 真之 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (00380155)
若林 誉幸 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (20644735)
中村 信嗣 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (30437686)
日下 隆 香川大学, 医学部, 教授 (50274288)
森本 絢 香川大学, 医学部附属病院, 医員 (80813881)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 早産児 / 貧血 / 近赤外光 / 脳血液量 / 輸血 |
研究実績の概要 |
医療技術の進歩により、出生時極めて未熟な状態である在胎28週未満の超早産児の生存退院が一般的となり、それらの児の神経学的予後を改善することの重要性が高まっている。超早産児において、貧血はほぼ全例で認められる、神経学的予後に影響する病態であり、輸血はごく一般的に行われている。にもかかわらず、現在頻用される血液ヘモグロビン濃度に基づいた輸血基準にエビデンスはない。 早産児貧血の治療目的が、長期的な神経学的予後改善であるとするならば、脳の酸素要求を常に満たすようにすることが、輸血の目的であると言える。脳の酸素代謝状態をモニタリングすることができれば、新たな輸血基準を作成しえる。我々は早産児における輸血療法時の脳血液量の変化を、近赤外光時間分解分光装置を用いて測定し、輸血により脳血液量の絶対量が減少することを報告した。脳血液量は、新たな輸血適応判断基準になりえる。 早産児において観察された輸血時脳血液量減少は、背景に貧血に対する代償性の脳血液量増加があることを示している。しかし、脳血液量の増加がどのように生じるかは未解明であった。我々は豚新生仔貧血モデルを用いて、脳血液量を脳動脈血液量、脳静脈血液量の二つに分けて測定する方法を考案し、計測を行った。これにより、貧血の進行に伴う脳血液量の増加は脳動脈相血液量の増加により生じており、脳静脈相血液量は貧血が進行しても変化しないことが明らかとなった。 脳の酸素要求を見る指標としては、脳内ヘモグロビン酸素飽和度の測定が有用であるとの報告がありそれに基づいて輸血を行うことが試みられている。しかし、我々は輸血による脳内ヘモグロビン酸素飽和度の上昇は、全体では認められるものの、一部の症例では逆に低下していることを観察し、それらの症例では輸血による臨床症状の改善が見られないことを明らかにした。脳血液量が、脳内ヘモグロビン酸素飽和度より優れた輸血指標である。
|