研究課題/領域番号 |
19K08352
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
前田 潤 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (00255506)
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研究分担者 |
内田 敬子 慶應義塾大学, 保健管理センター(日吉), 准教授 (50286522)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | Nodal / Tbx20 / IP3R2 / 内臓錯位症候群 |
研究実績の概要 |
内臓錯位を伴う複雑型先天性心疾患を発症した家系で同定された、心臓発生に必須のシグナル伝達分子、転写因子をコードするNODAL、TBX20遺伝子のバリアントについて、昨年度の研究で機能喪失型であることが判明し、今年度以下の研究を行った。 NodalおよびTbx20遺伝子改変マウスの交配により、Nodal/Tbx20ダブルヘテロ接合性ノックアウトマウスを作製し、心大血管表現型について解析した。Nodalヘテロ接合性ノックアウトマウス、Tbx20ヘテロ接合性ノックアウトマウス成獣は表現型に異常なく、生殖能も正常であったため、ヘテロ接合性ノックアウトマウス同士の交配を行った。Nodal/Tbx20ダブルヘテロ接合性ノックアウトマウス幼獣の出生頻度は野生型幼獣の出生頻度と比較して有意に低く、胎内死亡が示唆された。ダブルヘテロ接合性ノックアウトマウス胎仔を胎生致死に至る胎生後期に採取し、表現型を解析したところ、ダブルヘテロ接合性ノックアウトマウスでは野生型と比較して心内奇形の発生頻度が高かった。また、ダブルヘテロ接合性ノックアウトマウスにおける肺血管形態の可視化を目的として、Nodal/Tbx20/IP3R2-LacZのトリプルヘテロ接合性マウスを作製した。今後、胎生中期および後期のマウス胎仔の組織学的解析を行う予定である。in vitro解析として、患者家系で同定されたNodal遺伝子のバリアントを培養細胞に導入し、Nodalの下流シグナルであるSmad2およびSmad3のリン酸化の程度を、野生型Nodal遺伝子を導入した場合と比較したが、現在まで明らかな差を認めていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言発出に伴い研究機関内のマウス飼育数が制限されたため、解析速度を下げざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
Nodal/Tbx20ダブルヘテロ接合性ノックアウトマウスには先天性心疾患が認められ、胎内または出生直後に死亡する可能性が考えられる。Nodal/Tbx20ダブルヘテロ接合性ノックアウトマウスの胎生後期の表現型解析を詳細に行い、死因と死亡時期を特定する予定である。また、Nodal/Tbx20/IP3R2-lacZヘテロ接合性マウスを用いてIP3R2-lacZレポーターにより肺動脈の形態を個体レベルおよび組織レベルで観察する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言発出に伴い、研究機関内のマウス飼育数が制限されたため、当初の予定よりマウス購入数が減少し、次年度使用額を生じた。今年度までに行った免疫組織化学染色で、使用する抗体により染色不良な標本があったため、次年度使用額は新たな抗体購入にあてる予定。
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