研究実績の概要 |
正常出生体重児(片側腎腫瘍の患者)のネフロン推算を行った。合計21例の症例が本調査の対象基準を満たした。患者の手術時の年齢の中央値は2歳6か月(IQR, 1歳5か月-3歳9か月)、61.9%が男児であった。腫瘍の診断名はWilms腫瘍が85.7%と最多であった。蛋白尿をきたした症例は1例のみ、血尿をきたした症例も1例のみであった。血清クレアチニン値の中央値は0.28 mg/dL (IQR, 0.23-0.32), eGFRの中央値は109.2 ml/min/1.73m2 (IQR, 89.3-133.2) であった。また、1症例あたり計測した糸球体の数の中央値は64 個(IQR, 60-78)、腎臓あたりの総ネフロン数の推定値の中央値は950,846個(IQR, 868,760-1,049,293)と算出された。本研究では小児の生体腎のネフロン数の推定を世界に先駆けて行った。推定したネフロン数は既報の成人例と比較すると有意に多く、これはネフロン数の経年的な減少を考慮すると予測通りの結果であった。
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