研究課題/領域番号 |
19K08355
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
平野 大志 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90424663)
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研究分担者 |
神崎 剛 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (00816473)
湯坐 有希 地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立小児総合医療センター(臨床研究部), その他, 部長 (30277090)
西崎 直人 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (30561435)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ネフロン数 |
研究実績の概要 |
【背景】近年、腎疾患のない成人の剖検研究において、ネフロン数に予想以上の個体差が報告され、その差は最大で約13倍とされている。この知見から、同じ原疾患や臨床背景であっても慢性腎臓病の予後が異なる原因の一つとして、個人間のネフロン数の差による潜在的な腎予備能の差の重要性が認識されるようになった。総ネフロン数を推算し、ネフロン数を決定する因子を明らかにできれば、腎障害の早期発見・治療介入が可能となる。 【目的】造影CT画像および腎病理組織画像を用いて、立体解析学の方法論に基づき、生体腎を用いた小児の総ネフロン数を推算すること。 【対象と方法】順天堂大学および東京都立小児総合医療センターにおいて手術による腎摘出を施行された小児例のうち、造影CT検査を実施された21症例を対象とした。除外基準は両側性の腫瘍、染色体異常のある症例とした。造影CT画像データ(DICOM)を画像解析ソフトITK-SNAPで3次元構築し、腎皮質体積を算出した。また、摘出検体のHEまたはPAS染色検体標本をデジタルスキャナーにて画像取り込みし、Aperio Image Scopeを用いて皮質面積の計測、糸球体の容積の計測を行った。総ネフロン数は、Denicらによる計算式により算出した。 【結果】腎摘出時の年齢の中央値は2歳6か月、13例(61.9%)が男児であった。また、腫瘍の種類はWilms腫瘍が18例(85.7%)で最多であった。血清Cr値の中央値は0.29 mg/dL、eGFRの中央値は109.2 ml/min/1.73m2、総ネフロン数の中央値は950,846個/kidneyであった。 【結語】加齢に伴うネフロンの消失の影響を除外できる小児例を対象とした総ネフロン数の計測の意義は非常に大きいと考えられる。今後はさらに症例数を増やし、ネフロン数決定因子の探索、腎機能障害や将来的な腎予後評価について検討したい。
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