研究課題
本研究では、腸管上皮細胞と腸管粘膜免疫担当細胞のクロストークの視点から、腸管恒常性維持機構とその破綻のメカニズムを明らかにすることで、炎症性腸疾患の病態解明・新規治療法の基盤形成を目指す。特に腸管上皮細胞のミオシン軽鎖キナーゼの制御機構を炎症性免疫細胞因子から解明するとともに、腸管上皮細胞のミオシン軽鎖キナーゼ活性化による免疫細胞への影響を明かにことで、腸管炎症持続の機序を明らかにし、ミオシン軽鎖キナーゼの発現制御による炎症性腸疾患の治療が可能か検討する。本年度はまずin vivoで、C57BL6マウスへデキストラン硫酸ナトリウムを5日間自由飲水させることにより大腸炎を誘導し、免疫組織染色により大腸粘膜でF4/80陽性細胞が増加することを確認した。またRT-qPCR による大腸の遺伝子発現解析では、ミオシン軽鎖キナーゼの活性化因子となる炎症性サイトカインの発現亢進を認めた。続いてMacrophage colony stimulating factorを用いて骨髄由来マクロファージをin vitroで誘導し、Lipopolysaccharideの刺激によって発現が亢進する炎症性サイトカインに対し免疫沈降を行い、質量分析計で炎症性サイトカインのタンパク複合体解析を行った。その結果より多数の分子を同定し、その中から効率的なミオシン軽鎖キナーゼ活性化因子を現在検討中である。また免疫細胞に対する薬剤スクリーニングの結果からも、腸管上皮のミオシン軽鎖キナーゼを活性化しうる免疫細胞因子を同定した。
2: おおむね順調に進展している
腸管上皮ミオシン軽鎖キナーゼ活性化をする免疫細胞因子の絞込み・同定が出来たため。
免疫担当細胞側からのミオシン軽鎖キナーゼ活性化因子の分子メカニズムを明かにするとともに、腸管上皮細胞のミオシン軽鎖キナーゼの制御機構及びその免疫担当細胞への影響を明かにする。
本年度は試薬等が予定より少量で実験が可能であったが、次年度は解析項目が多岐にわたるため試薬を増量して購入する必要がある。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 産業財産権 (1件)
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