研究課題
肝筋相関の異常やそれに関連する体組成および栄養代謝の異常が、肝不全の進展と肝発癌に及ぼす影響を明らかにすべく研究を継続した。2020年〜2021年に得られた新規知見として、BCAA製剤による就寝前エネルギー投与(LES)が肝硬変患者の予後を改善すること(J Clin Med. 2020)、血清トリプトファン濃度の低下が骨格筋萎縮に関与すること(Nutrients. 2020)、内臓脂肪量の減少がソラフェニブ治療肝癌患者の予後を規定すること(Cancers. 2020)、亜鉛欠乏症が肝硬変患者の顕性肝性脳症の発症と予後を予測すること(Hepatol Res. 2021)、内臓脂肪量の増加と高インスリン血症が、肝炎ウイルス陰性肝癌根治的治療後の再発リスクを高めること(Cancers. 2021)、握力低下が慢性肝疾患患者の予後規定因子であること(Hepatol Res. 2021)、握力低下が肝硬変患者の不顕性・顕性肝性脳症の発症予測因子であること(JPEN. 2021)、SARC-F質問表が慢性肝疾患患者に合併するサルコペニアのスクリーニングに有用であること(J Clin Med. 2021)、Stroop testが不顕性肝性脳症の診断と顕性脳症の発症予測に有用であること(Hepatol Commun. 2021)を明らかにした。特に慢性肝疾患患者の予後を規定する握力値のcut offを明らかにしたことで、「肝疾患におけるサルコペニア判定基準(日本肝臓学会編)」の改訂(第2版)に繋がる報告ができた。肝臓と骨格筋、さらには多臓器(脂肪組織を含む)が構築する臓器間ネットワークを俯瞰的に捉え包括的な新規治療戦略を構築することは、肝硬変診療の最終目標である肝関連死(肝不全死および肝癌死)の予防に繋がる。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件)
Hepatol Commun
巻: 5 ページ: 1518-1526
10.1002/hep4.1738.
J Clin Med
巻: 10 ページ: 3448
10.3390/jcm10153448.
JCSM Rapid Communications
巻: 4 ページ: 150-158
Cancers
巻: 13 ページ: 1542
10.3390/cancers13071542.