我々の実用化研究シーズLRGは、CRPにかわる炎症性腸疾患(IBD)の活動性マーカーとして期待される。本研究ではIBD病態におけるLRGの発現調節機序を調べた。急性期応答を担う肝細胞と病変部のLRG産生細胞(腸上皮細胞、単球系細胞、好中球)の細胞株では、炎症性サイトカイン下流の転写因子STAT3とNFκBの両者がLRG産生誘導に重要であることを見出した。一方、好中球系細胞株では、分化・成熟課程でサイトカイン非依存的LRG発現が生じると考えられた。次世代シーケンサーによる遺伝子発現解析では、NFκBに代表される免疫シグナルがヒトIBD組織で亢進し病変部のLRG産生を促すと考えられた。
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