研究実績の概要 |
1. エピゲノム変化に基づく胃癌マウスモデルの構築 臨床的に胃癌のGSタイプにおいて、driver変異として認められるCDH1欠損とPIK3CA変異マウス(PIK3CAH1047R)を用いるため、CDH1floxedマウスとPIK3CAH1047Rマウスの交配し、また胃の粘膜にこの遺伝子変異を起こすためにSOX2, Lgr5-creERT, FOXA-creマウスとの交配を行った。3種類のマウスの交配のため、結果は出ていないが、交配は順調に進んでいる。胃特異的プロモータはSox2, Lgr5に加え、新たに胃特異的な発現パターンを示すGKN1プロモータを用いたGKN1-creERTマウスを作成するため、プロモータ領域のクローニングを行った。エピゲノムの変化は腫瘍化に重要であると考えられるため、リプログラミングマウスを用いて胃癌発生を考慮したマウスの作成を行う。初期化因子(OSKM: Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)を一時的に働かせることにより、膵臓癌が発生することが報告されているリプログラミングマウス(OSKM マウス)を用いた癌モデルであるが、マウスの搬入を行い、現在交配している。 2. 胃オルガノイドの解析 まず、Creリコンビナーゼ発現のないCDH1 floxed/PIK3CAH1047R floxedマウス胃の粘膜よりオルガノイドを培養した。オルガノイドにLenti-virus Creを感染させることにより、変異オルガノイドを作成した。細胞は重層化の傾向を示し、腫瘍細胞様の変化を呈した。生体内における腫瘍化については免疫不全マウスへの移植により現在評価している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
エピゲノム変化に基づく胃癌マウスモデルの構築 1. SOX2-creERT/CDH1floxed/PIK3CAH1047R, Lgr5-creERT/CDH1floxed/PIK3CAH1047R, Foxa3-cre/CDH1floxed/PIK3CAH1047Rマウスについては交配を行い、現在解析待ちの状態である。 2. 新たに胃特異的な発現パターンを示すGKN1プロモータを用いたGKN1-creERTマウスを作成するため、プロモータ領域のクローニングを行い、今後マウスの作成を行う。 3. エピゲノムの変化はリプログラミングマウスを用いて行うが、初期化因子(OSKM: Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)を発現する、リプログラミングマウス(OSKM マウス)とSOX2, Lgr5, CK-19creERTを交配したを用いたマウスを今後解析を行う。 4. 胃オルガノイドの解析 まず、Creリコンビナーゼ発現のないCDH1 floxed/PIK3CAH1047R floxedマウス胃の粘膜よりオルガノイドを培養した。オルガノイドにLenti-virus Creを感染させることにより、変異オルガノイドを作成した。腫瘍化については免疫不全マウスへの移植により評価を行う。オルガノイドにおいて次世代シーケンサーを用いて、ゲノム、エピゲノム、遺伝子発現変化を網羅的に検討する。次に、リプログラミング因子とCDH1欠損/PIK3CA変異による腫瘍化を検討する。リプログラミング因子はOct3/4, Sox2, Klf4, c-Mycの4因子を使用するが、この中でその組み合わせによって、腫瘍化が異なるかどうかを検討する。
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