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2020 年度 実施状況報告書

大腸がんにおけるグルコース輸送体の機能解析と治療標的として有用性の検討

研究課題

研究課題/領域番号 19K08375
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

久保田 英嗣  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30405188)

研究分担者 八木 崇志  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 研究員 (00781840)
片岡 洋望  名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (40381785)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード大腸がん / グルコース輸送体 / がん代謝
研究実績の概要

昨年度までの検討により、グルコース輸送体、SGLT1、SGLT2が大腸がん細胞株、HCT116およびSW480に発現していること、糖尿病薬として上市されているSGLT2阻害剤がAMPKの活性を介して大腸がん細胞、SW480およびHCT116の増殖抑制をもたらすことを確認している。本年度は、SGLT2阻害剤による大腸がん細胞の増殖抑制作用を、SGLT2阻害剤による細胞内代謝の変化という観点からメタボローム解析により検証を行った。大腸がん細胞株、HCT116をSGLT2阻害剤で刺激した後に、Bligh-Dyer法により水溶性成分(アミノ酸、糖類を含む)を分画分取し、クロマトグラフ分析計で、大腸癌細胞の代謝産物を計測した。メタボローム解析では、SGLT2阻害剤により細胞内ADP、AMPの上昇およびATPの低下を認め、これらの変化がAMPKの活性に関与していると考えられた。その他にも、SGLT2阻害剤によるシスチンの低下、酸化型グルタチオンの増加を認めたが、これらの細胞内代謝の変化の意義については明らかではなく、今後さらに詳細な検証をすすめる予定である。なお、SGLT2阻害剤およびSGLT2 siRNAによる大腸がん細胞株HCT116、SW480への糖取り込みのへの影響について、グルコース類似体2-DGを用いたグルコース取り込みアッセイで検証したが、有意な変化はみられず、細胞増殖やメタボローム解析で認められた細胞内代謝産物の変化はSGLT2による細胞内への糖取り込こみ機能が直接関与していないことが明らかとなり、SGLTには、グルコース輸送以外の細胞内代謝に関連した機能を有することが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの検討により、グルコース輸送体、SGLT2は、大腸がん細胞の増殖に関与し、そのメカニズムとしては、細胞内代謝を介した、AMPKの活性が関与していることが示された。一方、今回の検討からは、グルコース輸送体による細胞内への糖取り込み作用については、細胞増殖とは直接的な関連はないもとと考えられ、尿細管に発現しているグルコース輸送体とがん細胞に発現しているグルコース輸送体では役割が異なることが示唆された。

今後の研究の推進方策

大腸がん細胞移植マウスモデルを用いた検討を行う。大腸がん細胞はこれまで検討をすすめてきたHCT116を用い、免疫不全マウスの皮下に移植し、SGLT-2阻害剤を投与し、腫瘍増殖への影響を検討する。また、SGLT-2阻害剤を投与したマウスから摘出した腫瘍について、western blot法による細胞内シグナルの解析、メタボローム解析によるがん代謝を評価し、in vitroのデータとの比較検討を行う。

次年度使用額が生じた理由

マウス実験を予定していたが、新型コロナウイル感染拡大の影響もあり計画が遅れ、次年度使用額が生じた。

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公開日: 2021-12-27  

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