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2021 年度 実施状況報告書

アミノ酸トランスポーターに着眼した腸管粘膜の炎症マーカーとしての可能性

研究課題

研究課題/領域番号 19K08379
研究機関北里大学

研究代表者

川島 麗  北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70392389)

研究分担者 鎌田 弥生  順天堂大学, 大学院医学研究科, 助教 (00410035)
高橋 美帆  同志社大学, 生命医科学部, 助教 (00446569)
藤田 朋恵  獨協医科大学, 医学部, 教授 (20296510)
市川 尊文  北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30245378)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワードアミノ酸トランスポーター / LAT / 必須アミノ酸
研究実績の概要

消化管粘膜傷害の局所的背景には、炎症因子から栄養素取り込みまで様々な機構が関連する。本課題は昨年度に引き続き、5-FUによる粘膜傷害モデルにおける炎症惹起に伴う栄養素や薬物などのさまざまな物質を外部環境から頻繁に輸送するトランスポーターに焦点を当て、その発現を検証した。特に生体では合成できず食物から取り入れる必要がある必須アミノ酸輸送体LATのmRNA発現を検証した。5FUにて消化管粘膜傷害を誘導したマウスの小腸を8分割し、部位特異性を視野に入れ、発現を検討した。コントロール群では、小腸部位に関係なく、一定レベルのLAT1発現が見られた。LAT2の発現は小腸の中心部で徐々に増加し遠位で減少する傾向があった。傷害群では、LAT1の発現は約20倍上昇した。特に、回腸で有意に増加した。一方で、LAT2の発現は減少した。LATの補助サブユニットである4F2hcの発現は、コントロール群の小腸で明確な部位傾向性を示さなかったが、傷害後、小腸全体で減少した。
傷害により細胞のターンオーバーが減少することで、すべての栄養素トランスポーターが発現減少する可能性を排除するため、グルコーストランスポーターであるSGLT1発現を検証したところ、コンロール群において、部位発現特異性は見られたものの、傷害依存性の発現上昇または現象は見られなかった。
LATを介した必須アミノ酸を含む中性アミノ酸の取り込みは、主に小腸の中心で起こると考えらており、リンパ球の活性化とホルモンによる刺激によってLAT1高発現が誘導されるとの報告もある。したがって、LAT1は、細胞の要求を満たすために必要なアミノ酸を供給するように発現が調整されるトランスポーターである損傷組織におけるLAT1発現の上昇は注目するに値すると見込んでおり、本結果により、アミノ酸の変動が特に炎症性条件下で発生する現象であると考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究計画当初に想定していた肝となる結果が当該年度にて得られたため、予定通りかつ予想通りの結論となり、初年度から2年目に得られた結果の十分な裏付けがされたと考えている。来年度は、遺伝子レベルからタンパク質レベルに実験系を移し、更なる展開を期待する。

今後の研究の推進方策

組織炎症に伴うLATmRNAの発現変動が見られたことから、今度はタンパク質レベルでの変動および組織局在を明らかにする必要があるため、同モデルにて、ウエスタンブロッティングおよび免疫組織化学的染色法にてアミノ酸輸送体の発現を検討する。

次年度使用額が生じた理由

PCRの条件検討が順調に進んだことなどから、試薬の無駄を削減できた。また、COVID-19研究の全国的な推進により、当課題で使用しているBALB/cマウスが品薄になり、購入が困難となった時期があったことが要因である。2022年4月の現時点ではマウスの供給が順調になりつつあるとの報告を受けているため、繰越金はマウスの購入費に充当する予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2021

すべて 学会発表 (8件) (うち国際学会 1件)

  • [学会発表] Receptor for advanced glycation products (RAGE) contributes to negative regulation of type 2 mucosal immunity to the intestinal nematode Nippostrongylus brasiliensis2021

    • 著者名/発表者名
      Daigo Tsubokawa, Masashi Satoh, Fumitaka Kawakami, Rei Kawashima, Takafumi Ichikawa
    • 学会等名
      ICOPA2022
    • 国際学会
  • [学会発表] 魚介類中アミノ酸類似体による腸管神調節機構の解明2021

    • 著者名/発表者名
      森谷大地, 前川達則, 川島麗, 川上文貴, 市川尊文
    • 学会等名
      第40回サイトプロテクション研究会
  • [学会発表] NSAIDs誘発性腸管粘膜傷害におけるヒスタミンH2受容体拮抗を介した腸内細菌叢の改善効果2021

    • 著者名/発表者名
      川島麗, 玉木竣, 前川達則, 川上文貴, 市川尊文
    • 学会等名
      第44回分子生物学会
  • [学会発表] Leucine-rich repeat kinase 2 regulates the acquisition of bi-phenotype in enteric neurons2021

    • 著者名/発表者名
      前川達則, 森谷大地, 川島麗, 川上文貴, 市川尊文
    • 学会等名
      第44回分子生物学会
  • [学会発表] 腸管神経系におけるタウリンの生理作用の解明2021

    • 著者名/発表者名
      森谷大地, 前川達則, 川島麗, 川上文貴, 市川尊文
    • 学会等名
      第44回分子生物学会
  • [学会発表] 腸管神経系におけるタウリンの生理作用の解明2021

    • 著者名/発表者名
      森谷大地, 前川達則, 川島麗, 川上文貴, 市川尊文
    • 学会等名
      第64回神経化学学会
  • [学会発表] 腸管神経系におけるタウリンの生理作用の解明2021

    • 著者名/発表者名
      森谷大地, 前川達則, 川島麗, 川上文貴, 市川尊文
    • 学会等名
      第23回バイオサイエンスフォーラム
  • [学会発表] Nippostrongylus brasiliensis 感染感受性における終末糖化産物受容体の役割2021

    • 著者名/発表者名
      坪川大悟, 佐藤雅, 川上文貴, 川島 麗, 市川 尊文
    • 学会等名
      第91回寄生虫学会

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公開日: 2022-12-28  

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