研究課題/領域番号 |
19K08382
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
高梨 正勝 東京医科大学, 医学部, 講師 (80312007)
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研究分担者 |
村上 善基 東京医科大学, 医学部, 教授 (00397556)
上田 しのぶ 東京医科大学, 医学部, 助手 (00521874)
須藤 カツ子 東京医科大学, 医学部, 兼任講師 (50126091)
梅澤 明弘 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 再生医療センター, 副所長/再生医療センター長 (70213486)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | NASH / 間葉系幹細胞 / exosome |
研究実績の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の治療に再生医療の応用を検討する一環として間葉系幹細胞の応用可能性を検証することを目的とする。間葉系幹細胞はこれまでに組織再生や骨髄移植で生じる拒絶反応の抑制に効果があると報告されている。NASH発症後の進行した肝臓では肝硬変や肝がんを発症する割合が高いことが報告されている。そのため、効果的な治療法の選択として移植治療が有力と考えられる。しかし、臓器移植には多くの問題点がある。これを解決する方法として再生医療の応用が適していると思われる。間葉系幹細胞を用いた組織再生が実用の可能性が高いと予想される。間葉系幹細胞の作成はいくつかの細胞を起源とするもので樹立が可能である。中でも脂肪組織由来の間葉系幹細胞は樹立に際し、侵襲性が低いことや組織中の幹細胞の含有数が多いことが知られている。非アルコール性脂肪肝での脂肪組織中から間葉系幹細胞の樹立を行う。NASH発症原因の異なるモデルマウスと単純性脂肪肝のマウスを作出する。マウスに高脂肪食または高コレステロール食を給餌する期間ごとに脂肪組織を採取してAMSCを樹立すると共に、肝臓のNASH発症状況を組織学、逸脱酵素などの生化学的な結果と照らし合わせる。C57BL/6Jマウスにストレプトゾトシン処理後に高脂肪含有食を長期間給餌し、非アルコール性脂肪炎の動物モデルを作成した。さらに、IL-1受容体アンタゴニスト欠損マウス(IL-1Ra-KO)へ同様に処理を行い、NASHモデルマウスとなるか肝臓の組織標本や血清生化学的解析結果から検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
間葉系幹細胞の作成には脂肪組織由来のものを使用することにした。NASH発症患者の生体内に存在する脂肪組織に対するNASH発症の影響の有無を確認するため、NASHモデルマウスから脂肪組織を摘出し、間葉系幹細胞の誘導を試みている。NASHモデルマウスの誘導には幾つかの方法が報告されている。研究計画では単純性脂肪肝を含め4種類の方法でモデル動物を作成し、そこから脂肪組織由来の間葉系幹細胞の誘導を予定した。現在までに、2種類の誘導法によるNASHモデルマウスの作出の確認が出来ているが、ApoE欠損マウスについては入手が難しいため、本件研究計画から外して残りのマウスを用いて確認を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
作成したNASHモデルマウス由来の脂肪組織から間葉系幹細胞を樹立を行うと共に、幹細胞由来の細胞外分泌小胞(エクソソーム)を単離精製を行い、細胞及び、エクソソームの改正を行う。NASHの誘導の無いマウス由来の脂肪組織から同様に間葉系幹細胞、及びエクソソームを単離し、誘導系のものと比較を行い、肝臓の再生に対し影響のある遺伝子の抽出をする。
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次年度使用額が生じた理由 |
NASHモデル動物の作成を一部変更したために次年度使用が生じた。 既存のNASH誘導法で、これまでに使用したマウスの系統を変更して発症を確認する。さらにメチオニンーコリン欠乏飼料を給餌することでNASHの発症を確認する。
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