研究課題
腸管は腸管上皮を介し食餌抗原や細菌など外界と接している。腸管上皮細胞の細胞間に存在するタイトジャンクションは、それら外来抗原の腸管粘膜への無秩序な侵入を制御することで腸管の恒常性を維持している。一方で、食餌や腸内細菌自身もタイトジャンクションに影響を与え腸内環境を変化させることで腸管恒常性維持に関与している。本研究ではタイトジャンクションを介した、食餌や腸内細菌による腸管への影響を理解し、腸管上皮腫瘍化のin vivoメカニズムを明かにすることにより大腸腫瘍予防法の構築を行うとともに、腫瘍細胞におけるタイトジャンクションの機能をin vitroで明かにすることで大腸腫瘍の治療法を検討する。前年度に引き続き野生型マウスを用いて食餌アミノ酸変化による腸管への影響を解析した。対称群に比較してLセリン投群与では、体重変化や腸管の肉眼的・組織学的所見、フローサイトメトリーによる腸管粘膜粘膜固有層リンパ球解析に有意な変化を認めなかった。野生型マウスにアゾキシメタンを投与したのち、デキストラン硫酸ナトリウム飲水による腸炎を3回繰返し誘導する大腸腫瘍モデルにおいてもアミノ酸投与実験を行い、現在表現型の解析中である。さらには、デキストラン硫酸ナトリウム飲水による急性腸炎モデルを用いて、大腸粘膜におけるC1qの発現上昇を認め、その際の腸管上皮細胞におけるβ-cateninの経時的変化を明かにし、今後は腫瘍モデルでの解析へ展開する予定である。
2: おおむね順調に進展している
マウス腫瘍モデルを用いた食餌投与実験まで進捗したため。
マウスモデルを用いて様々な食餌による腫瘍とタイトジャンクションの解析を行い、大腸腫瘍オルガノイドを用いてその分子メカニズムを明かにする。
本年度は試薬が計画より廉価で購入可能であったが、次年度は委託解析費用が増加する見込みのため次年度使用額が生じるに至った。
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