研究課題/領域番号 |
19K08390
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
橋本 哲 新潟大学, 医歯学総合研究科, 客員研究員 (10768667)
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研究分担者 |
寺井 崇二 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
上村 顕也 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00579146)
佐藤 裕樹 新潟大学, 医歯学系, 助教 (50644556)
土屋 淳紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (70464005)
横尾 健 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任助教 (80750629)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 間葉系幹細胞 / エクソソーム / コラゲナーゼ / トリアムシノロン / ESD / 瘢痕狭窄 |
研究実績の概要 |
早期食道癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後瘢痕狭窄の予防に対し、著者らはステロイド製剤であるトリアムシノロンを用いた内視鏡的食道壁内注入法を開発し、トリアムシノロンに術後狭窄を防ぐ作用があることを臨床的に証明してきた。しかし、全周例など効果の不十分な症例も残存し、さらなる治療法の開発を進めてきた。著者らは肝硬変に対する抗線維化治療として、本邦初の企業治験を施行している間葉系幹細胞 (MSC) や効果を及ぼす核心として注目されるエクソソームの研究を現在進めている。間葉系幹細胞は骨髄ばかりでなく脂肪組織などの医療廃棄物からも取れ、簡便に培養でき様々なサイトカイン、エクソソームなどを産生し、抗炎症、抗酸化、抗線維化など状況に応じて様々な効果を及ぼす点、そして低抗原性で他家細胞も用いることが出来る点で注目を集めている。また希釈コラゲナーゼ(CN)での線維溶解の可能性を追求している。本研究の目的は、ラットでの皮膚欠損モデルにおいて①MSC、②MSC由来のエクソソーム、③希釈CNにて効果や適正量を検証した後に、ESDを施行したイヌ食道モデルを作製し、皮膚モデル実験のデータを基に効果の得られたものを、食道壁内に局所注入し、線維化予防効果について検討することである。摘出標本は、常法に従いヘマトキシリン・エオジン染色標本を作製し、αSMA染色、コラーゲンの前駆物質であるhydroxyproline定量などを行う。また線維化改善の機序を解明するためMMPを産生し線維改善に寄与すると報告のあるM2マクロファージや炎症調整に重要でMSCにより誘導されやすいとされる制御性T細胞を中心とした血球細胞浸潤の程度を検討する。本研究の成果は、ヒトへの臨床試験への基盤となり、将来的にはCrohn病などで生じる難治性消化管狭窄に対する抗線維化治療の開発につながる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットモデル作成において間葉系幹細胞、エクソソーム、コラゲナーゼの投与についての動物実験倫理委員会への承認に時間を要した。エクソソーム抽出にも検討が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
現在、上記研究の付置実験として、トリアムシノロンのイヌ食道壁内への線維化予防効果の検証を行っている。ラットモデルの速やかな作成、エクソソーム抽出について十分な検討を現在行っており、研究を進めていく所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
倫理委員会承認の遅れがあり、必要となる動物実験費の一部は次年度への持ち越しとした。
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