研究課題/領域番号 |
19K08399
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
谷田 諭史 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 准教授 (30528782)
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研究分担者 |
前川 大志 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 講師 (10771917)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | PD-L1細胞内移行システム / Cullin3 / ANKFY1 / Rab5 |
研究実績の概要 |
1.胃癌細胞株におけるPD-L1蛋白発現量の検討。11種類の胃癌細胞株においてPD-L1蛋白量を比較し、PD-L1発現量の変化を検討した。NUGC3細胞がPD-L1をconstitutiveに多く発現しており、CUL3欠失により、PD-L1発現が増加していることを確認し、以後NUGC3を使用した。2.CUL3-ANKFY1結合の確認。 NUGC3細胞をlysisした後、抗ANKFY1抗体で免疫沈降した後、抗CUL3抗体でブロットした。CUL3-ANKFY1の結合を確認し、ANKFY1 siRNAオリゴにてノックダウンするとその結合が消失することを確認した。3.PD-L1の細胞内膜輸送を制御するCUL3-ANKFY1の基質探索。 CUL3-ANKFY1の基質の同定は、本申請課題の最重要課題である。各種培養消化器がん細胞株において、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ変異体を用いた生細胞でのin vivoビオチン標識法を行い。CUL3-ANKFY1の基質の一つは、Rab5だということを同定した。4.CUL3-ANKFY1の基質欠失時のPD-L1の細胞内膜輸送変化の検討。 NUGC3細胞にANKFY1 siRNAオリゴまたは、コントロールオリゴをトランスフェクション施し、ANKFY1欠失後、蛍光標識したPD-L1抗体処置後、細胞膜から細胞内への輸送系をmicroscopeにて観察した。また、細胞膜、細胞質、細胞核のフラクションでのPD-L1の局在発現も確認した。ANKFY1欠失により、ウェスタン解析および免疫染色により、PD-L1は、コントロールに比較して細胞膜に多く局在することが明らかになった。5.Rab5欠失時のPD-L1の細胞内膜輸送阻害効果の検討。 Rab5の欠失後ウェスタン解析および免疫染色により、PD-L1は、局在は、細胞質に留まり細胞膜へ移動が阻害されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1. PD-L1の細胞内膜輸送を制御するCUL3-ANKFY1の基質探索をし、基質がRab5であることを突き止めることができ、Rab5欠失により、PD-L1の細胞膜への移行が阻害されたことが明らかにすることができた。
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今後の研究の推進方策 |
1.ANKFY1欠失時のビオチンラベルによる細胞膜上のPD-L1局在の評価。2.Rab5モノユビキチン化部位の変異体を細胞導入した場合のPD-L1局在の変化の検討。3.タンパク質間相互作用検出システムAlphascreen systemを用い、ANKFY1-Rab5基質結合阻害薬の探索。 上記の解析、研究を続けていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度次に実施するANKFY1-Rab5基質結合阻害薬の探索を次年度以降に行うこととしたため。 (使用計画) タンパク質間相互作用検出システムAlphascreen systemを用い、1万化合物ライブラリーからスクリーニングを行い、低濃度で強い結合阻害活性を持つ化合物を探索する。
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