研究課題/領域番号 |
19K08402
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
細江 直樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (90317131)
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研究分担者 |
筋野 智久 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (40464862)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 走査電顕 / 超拡大内視鏡 / 腸管上皮 |
研究実績の概要 |
増加しつづける炎症性腸疾患患者では腸内細菌叢の多様性や細菌数が減少していることが明らかになり、菌と宿主の関連性について検討がなされている。炎症性腸疾患の治療ゴールが内視鏡的な寛解にあるとされ、現在では生体内で顕微鏡レベルの観察が可能な超拡大内視鏡が開発、実用化され病理学的な寛解を生体内で確認する試みが報告されている。しかし、超拡大内視鏡における寛解がどの程度病態を反映しているかは不明である。また、走査電子顕微鏡は従来大型かつ高額な機器であったが、近年小型化、低価格化がすすんでおり、比較的簡便に電子顕微鏡観察が可能となっている。本年度は、走査電子顕微鏡を用いて炎症性腸疾患における細菌、腸管上皮、免疫細胞の局在の異常、さらに通常~超拡大内視鏡を用いて、絨毛、腺管構造の異常を観察し、炎症性腸疾患の病態解明を行うことが目標であった。しかしながら、患者組み入れが遅れており、検討が本年度は進まなかったため、これまでに行った検討を論文化することとした。論文の概要は8例の健常者(コントロール)とUC患者20例に対して、通常内視鏡観察を行い、生検を採取、その検体から走査電子顕微鏡による観察を行った。さらに1年間の経過観察を行った。コントロールと比較し、UC患者の走査電顕観察から、腺管の構造のみだれ、腺管の構造の違い(unit構造の大小不同(unit不整)、陰窩数のunitあたりの不一致(陰窩不整))を見出すことができた。この結果を、日本大腸検査学会で発表、さらに論文化し、現在投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者が主体となり行う予定であった健常者、UC(Ulcerative colitis)患者30名をエントリーし、通常内視鏡と超拡大内視鏡観察、電子顕微鏡観察を行う検討であるが、エントリーが進んでおらず、また2020年に入ってから新型コロナウイルス感染拡大もありさらに患者組み入れが進まない状況になっている。また、腸管上皮に付着している菌を16s RNAseqで解析し、上皮粘液を無菌マウスに移植し、免疫細胞の変化及び、マウス腸管上皮構造変化を電子顕微鏡で観察する検討であるが、細菌の無菌マウスへの移植に失敗したこともあり、予定よりも実験の進捗が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染が落ち着いたのちに患者リクルートを促進する。方策としては、CRC(clinical research coordinator)を雇入れて、患者組み入れを促進する。また、基礎研究の部分(腸管上皮に付着している菌を16s RNAseqで解析し、上皮粘液を無菌マウスに移植し、免疫細胞の変化及び、マウス腸管上皮構造変化を検討する部分)をさらに拡大し検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年は研究の進捗が遅かったため、実験資材など消耗品費の支出が少額であった。次年度には、本年度行う予定であった検討(腸管上皮に付着している菌を16s RNAseqで解析し、上皮粘液を無菌マウスに移植し、免疫細胞の変化及び、マウス腸管上皮構造変化を電子顕微鏡で観察する検討)を行う予定である。
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