研究課題
増加しつづける炎症性腸疾患患者では腸内細菌叢の多様性や細菌数が減少していることが明らかになり、菌と宿主の関連性について検討がなされている。炎症性腸疾患の治療ゴールが内視鏡的な寛解にあるとされ、現在では生体内で顕微鏡レベルの観察が可能な超拡大内視鏡が開発、実用化され病理学的な寛解を生体内で確認する試みが報告されている。しかし、超拡大内視鏡における寛解がどの程度病態を反映しているかは不明である。また、走査電子顕微鏡は従来大型かつ高額な機器であったが、近年小型化、低価格化がすすんでおり、比較的簡便に電子顕微鏡観察が可能となっている。本年度は、走査電子顕微鏡を用いて炎症性腸疾患における細菌、腸管上皮、免疫細胞の局在の異常、さらに通常~超拡大内視鏡を用いて、絨毛、腺管構造の異常を観察し、炎症性腸疾患の病態解明を行うことが目標であった。しかしながら、患者組み入れが遅れており、検討が本年度は進まなかったため、これまでに行った検討を論文化することとした。論文の概要は8例の健常者(コントロール)とUC患者20例に対して、通常内視鏡観察を行い、生検を採取、その検体から走査電子顕微鏡による観察を行った。さらに1年間の経過観察を行った。コントロールと比較し、UC患者の走査電顕観察から、腺管の構造のみだれ、腺管の構造の違い(unit構造の大小不同(unit不整)、陰窩数のunitあたりの不一致(陰窩不整))を見出すことができた。この結果を、日本大腸検査学会で発表、さらに論文化した。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
iScience
巻: 25 ページ: 104021
10.1016/j.isci.2022.104021
JGH Open
巻: 31 ページ: 590-598
10.1002/jgh3.12538.
Ann Med.
巻: 53 ページ: 2025-2033
10.1080/07853890.2021.1998597.
DEN open
巻: 16 ページ: e26
10.1002/deo2.26
Dig Dis Sci
巻: 66 ページ: 3141-3148
10.1007/s10620-020-06609-4