研究実績の概要 |
大腸の腫瘍性ポリープは前がん病変であるため、摘除が推奨されている。しかし、内視鏡での腫瘍/非腫瘍の鑑別精度は80%台に留まっており、不必要なポリープ切除が横行している。申請者は人工知能(AI)を利用することで、この問題を解決できると考え、複数の科研費研究を経て、95%超の感度・特異度で腫瘍を鑑別しうる自動診断システムを開発した(Mori, et al.Annals of Internal Medicine 2018)。 本研究では、国際共同研究という、より厳しい環境下でも、今までに得られた成果が再現されるかどうかを確かめることを一義とする。具体的には、オスロ大学(ノルウェー)・キングスカレッジ(イギリス)・昭和大学(日本)での3か国による国際共同研究を立案、実施した。デザインは、前向きの優越性検証試験である。主要評価項目を微小腺腫診断における感度とし、大腸内視鏡中に人工知能を用いた場合と用いない場合での診断能の差を評価した。倫理委員会承認を取得、臨床試験登録をした後(UMIN000035213)、2019年度始から患者リクルートを開始した。2021年度で、予定されていた約1300人の患者集積を終了、主要な解析も終了し、2022年4月13日にNEJM Evidenceに論文がpublishされた。
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