研究実績の概要 |
Regenerating gene (Reg)は、損傷された膵臓が再生する過程で誘導される遺伝子としてクローニングされ、膵ラ氏島に作用して細胞増殖作用を有し、膵再生関連因子として注目されている。また膵臓だけで無く、消化管粘膜の障害後の再生にもRegが関わっていることが知られている。 本研究課題では、7遺伝子(Reg1,2,3a,3b,3d,3g, and 4)で構成されるReg familyのうち、6遺伝子(Reg1,2,3a,3b,3d,3g)を全身で欠損させたマウスを作製(Reg-/-)、解析し、Regの本質的な生体での役割解明を目指す。 Reg-/-マウスはメンデルの法則に従って生まれ、その後の成長も野生型と差が見られなかった。8週齢でコレシストキニンアナログのセルレインを用いて、急性膵炎惹起刺激を行った。急性膵炎直後の重症度には差が見られなかったものの、その後の再生がやや(軽度)遅れることが判明した。その原因を明らかにするために、膵再生、線維化に関わっているとされる膵星細胞のマーカーであるデスミンおよびaSMAをウエスタンブロットおよび蛍光免疫染色で観察した結果、その活性化もReg-/-マウスではやや遅れることが判明した。 消化管については、病理学的検討では、生理的条件においては顕著な差が見られていないことから、膵臓と消化管においては、Reg1-3遺伝子は顕著な役割ははたしていないことが判明した。
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