研究課題/領域番号 |
19K08407
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
中村 徹 久留米大学, 医学部, 講師 (30341332)
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研究分担者 |
増田 篤高 久留米大学, 医学部, 助教 (40647872)
安倍 満彦 久留米大学, 医学部, 助教 (70624518) [辞退]
鈴木 浩之 久留米大学, 医学部, 助教 (70817832)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | NASH / 肝硬変 / CD34陽性細胞 / 細胞療法 / 肝線維症 / 肝再生 |
研究実績の概要 |
我々はこれまでにウイルス性肝硬変を対象としたCD34陽性細胞移植による肝再生治療に関する基礎研究から臨床研究まで行い、治療効果を報告・検証してきた。今後は近年増加傾向にあるNASHに起因する肝硬変を対象とした基礎的検討が必要と考え、現在基礎的研究を進めている。食餌性NASH誘導モデルマウスはコリン欠乏メチオニン減量60%脂肪食(CDAHFD60)を給餌させて作製した。本年度は20週間給餌させたモデルを用いて培養CD34陽性細胞移植効果のメカニズムについて検討するため、通常食(NCD)を給餌したNCD群(n=3)とCDAHFD60を給餌し細胞移植を行わなかった対照群(Ctrl群; n=3)、培養CD34陽性細胞を2回移植した群(CD34d群; n=3)でRNA-seq解析を行った。NCD群とCtrl群を比較し、発現亢進した遺伝子群の中から、CD34d群で有意に減少した遺伝子群を123個を抽出した。それらを用いたgene ontology解析では"defence response to virus"が最も変化し、Ddx58(RIG-I)/Irf7/Stat1/Cxcl10 axisが抑制されていた。免疫組織化学染色による解析ではCD34d群でCXCL10陽性細胞が有意に減少し、さらにCXCL9/10のケモカインレセプターであるCXCR3の発現が報告されているヘルパーT細胞、細胞障害性T細胞、マクロファージをそれぞれ抗CD4、CD8、F4/80抗体で免疫染色を行ったところ、CD34d群においてそれぞれ有意に減少していた。培養CD34陽性細胞はNASHモデルマウスにおいても抗炎症作用、肝線維化抑制作用を有することが明らかとなった。その作用機序のひとつに高脂肪食により誘導された炎症性ケモカインの抑制にあることが示唆された。
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