研究課題
原発性胆汁性胆管炎(PBC)は、慢性進行性の胆汁鬱滞性肝疾患であり、胆管上皮細胞に対する自己免疫反応の関与が示唆されている一方で、その発症・進展機序は未だ不明なままである。疾患の罹りやすさに関連する遺伝子を網羅的に探索するゲノムワイド関連解析(GWAS)を用いて、申請者らの研究グループはこれまでにヒト白血球抗原遺伝子群(HLA)をはじめとする多数の日本人PBC感受性遺伝子領域を同定するとともに(Hitomi Y, et al. 2019など)、英国などの研究グループとの国際共同研究によるGWASメタ解析を実施してきた(Cordell HJ, et al. 2021)。令和3年度は、国際GWASメタ解析によって新たに同定されたアジア人特有のPBC感受性遺伝子領域を対象に、発症に直接寄与する機能的遺伝子多型(causal variant)の同定、PBC発症機序の解明を目的として、以下に示す研究を実施した。まず、CCR6/FGFR1OP領域において、PBC感受性との関連(P < 0.01)を示す400ヶ所以上の遺伝子多型を検出した。さらに、in silico解析・in vitro機能解析を実施し、FGFR1OPの遺伝子発現量を制御するrs9459874、および、uORFを介したCCR6タンパク産物の翻訳効率を制御するrs1012656を同定した。免疫組織化学により、CCR6タンパク発現が健常肝と比べてPBC肝で増強していることも、併せて見出した。さらに、PBCを含めた10疾患で共通する疾患感受性遺伝子領域が存在することや、その疾患感受性が選択的スプライシングを制御する遺伝子多型に由来することを明らかにした。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 5件)
Journal of Autoimmunity
巻: 126 ページ: 102775~102775
10.1016/j.jaut.2021.102775
Gastroenterology
巻: 160 ページ: 2483~2495.e26
10.1053/j.gastro.2021.02.061
European Journal of Human Genetics
巻: 29 ページ: 1282~1291
10.1038/s41431-021-00854-5
Journal of Hepatology
巻: 75 ページ: 572~581
10.1016/j.jhep.2021.04.055