研究課題/領域番号 |
19K08417
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高村 昌昭 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (20422602)
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研究分担者 |
横尾 健 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任准教授 (80750629)
寺井 崇二 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00332809)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | エクソソーム / 非アルコール性脂肪肝疾患 / 非アルコール性脂肪肝炎 / 肝外悪性腫瘍 / 虚血性心疾患 |
研究実績の概要 |
NAFLD/NASHにおける肝関連死を上回る肝外合併症発症による死因のメカニズムについてはほとんど解明されておらず,本疾患の生命予後を改善するにはその解明が不可欠である.本研究は,エクソソームに着目し,そのメカニズムを解明することが目的である.本年度は,以下の3つの研究を遂行した.(1). High-fat and high-cholesterol (HFC) diet 給餌 human CD63-GFP Tg ラット (NAFLD CD63-GFP Tg ラット) と control diet 給餌 human CD63-GFP Tg ラット (control CD63-GFP Tg ラット) における体重や肝重量等の比較と各臓器組織内エクソソーム発現の比較と抽出,(2). in vitro(腎皮質primary culture)からのエクソソーム抽出,(3). NAFLD/NASH 症例の血清・臨床データの継続的な集積である.(1). については,各群5匹の検討で,35週での体重に有意差はみられなかったが,肝重量体重比はむしろcontrol CD63-GFP Tg ラットで有意に高かった.肝臓は各群ともCD63陽性細胞を観察できなかったため,昨年度確認ができた腎で行ったが,各群とも蛍光偽陽性が多かった.他のエクソソーム表面マーカーでも検討したが偽陽性が多く解決には至らなかったため,エクソソームの抽出に難渋している状況である.(2). については,組織からの抽出がうまくいかなかったため,in vitroからの抽出を試みた.human CD63-GFP Tg ラットの腎皮質primary cultureを行ったが,GFP陽性かつCD63陽性細胞は少なく,抽出には大量の細胞数が必要であることが判明した,(3). については,データベースに継続的に症例集積を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
human CD63-GFP Tg ラットの研究に必要な頭数を増やすことは可能となったが,現在遅れている最大の理由は,組織からのエクソソーム抽出に難渋していることである.そこで,腎皮質のprimary cultureでの抽出も試みたが,細胞の増殖が不十分であり,かつ評価可能であった細胞の一部しかGFP陽性かつCD63陽性細胞がないことから,解析可能なエクソソームを回収するのには,大量の細胞が必要になることが判明した. 現在,他の抽出キットでも検討しているところである. NAFLD CD63-GFP Tg ラットやcontrol CD63-GFP Tg ラットの血中エクソソーム内のmiRNAを抽出し,網羅的発現アレイ解析に進むことも含めて検討している.
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今後の研究の推進方策 |
human CD63-GFP Tg ラットの研究に必要な頭数を増やすことは可能となったが,エクソソームの抽出に難渋しているため,NAFLD CD63-GFP Tg ラットやcontrol CD63-GFP Tg ラットの血中エクソソーム内のmiRNAを抽出し,網羅的発現アレイ解析に進むことも含めて検討している.現在,キット製品だけでなく,超遠心法等も検討している. エクソソームの抽出が可能となったら,miRNA抽出から網羅的発現アレイ解析に速やかに進め,候補miRNAを同定し,最終的には,NAFLD/NASH 症例の血中エクソソーム内候補 miRNA 発現の検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
エクソソーム抽出および抽出確認に必要な,抽出キット・エクソソームマーカー抗体の購入,miRNAを抽出するための精製キットおよびリアルタイムPCR関連試薬,さらにmiRNAアレイ解析費と候補 miRNA に対する mimic/inhibitor 合成費用に使用を予定している.
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