研究課題
膵癌は予後不良な現状が続いており、個々の患者の遺伝子プロファイルを得て治療選択を行う個別化医療が重要である。そのためには膵癌で採取されるEUS-FNA検体の遺伝子解析が極めて重要な意味を持つことになると思われる。膵癌に対してEUS-FNAを施行した161症例(Stage I/II/III/IV=6/72/22/61例)を対象とした。膵癌のドライバー遺伝子と治療標的となりうる遺伝子異常を公共データベース(COSMIC, TCGA, OncoKB)から抽出し、78遺伝子を増幅するオリジナルパネルを作成した。EUS-FNAのFFPE検体より抽出したDNAを用いて次世代シークエンス解析を施行した。まずEUS-FNA検体量別の遺伝子解析成功率と成功に関わる因子の解析の結果、EUS-FNAのFFPEサンプルから中央値で16ngのDNAが得られ、標的遺伝子は93%の検体で増幅され次世代シークエンスを行うことが可能であった。DNA量として3ng以上得られると遺伝子解析成功率が上昇し、それにかかわる因子はEUS-FNA手技のうち迅速病理陽性であった。次に網羅的遺伝子解析にて治療標的となりうる遺伝子異常の同定と治療効果をみたところ、得られた遺伝子異常は多い順にKRAS (82%), TP53 (57%), SMAD4 (19%), RET(16%)であった。FDAで認可されている分子標的薬のマーカーとなる遺伝子異常は93か所30症例(20%)に認め、実臨床で使用されているFOLFIRINOXのマーカーとなりうるHomologous recombination repair関連遺伝子の異常は14%の症例にみられた。十分量が得られるとは限らないEUA-FNA検体でも次世代シークエンス解析が可能で、治療標的となりうる遺伝子異常を検出することが可能であった。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件)
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