研究課題/領域番号 |
19K08424
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
白井 睦訓 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20196596)
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研究分担者 |
浅岡 洋一 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (10436644)
清木 誠 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50226619)
柴田 健輔 山口大学, 大学院医学系研究科, 講師 (50529972)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 感染免疫 / YAP / MHC / IL8 |
研究実績の概要 |
Hippo経路が宿主-病原体の関係性へ影響を及ぼすシグナル伝達系を網羅的に探索するとともに、YAPが制御するシグナル伝達系分子の発現の網羅的なRNA-seq解析を行った。その探索の中で、これまでに重力耐性遺伝子YAPがどのようなシグナル伝達系分子の発現を制御しているのか網羅的に明らかにするため、野生メダカ野生型胚とYAP変異体胚の間でRNA-seq解析を試みた結果、YAP変異体で発現が上昇した遺伝子を191個, 減少した遺伝子を339個見出した。YAP変異体で最も高度に発現上昇した遺伝子は、微生物の抗原認識、提示する免疫系シグナル伝達分子であり、重力耐性遺伝子YAPと免疫系遺伝子発現の間には密接な関連があることが示唆された。一方で、Hippoシグナル経路では、T細胞の増殖への関与、MST1/2の微生物感染に対する自然免疫やT細胞接着や移動・ホーミングへの関与、TAZの制御性T細胞TregとTH17細胞の分化制御は報告されているが、YAP/TAZと抗原認識、提示との関連の報告はない。樹状細胞 (野生型 vs YAP欠損) 等抗原提示細胞とサルモネラ感染細胞における抗原のプロセッシングと抗原提示におけるYAP/TAZの役割を解明し、Hippo-YAP/TAZシグナル伝達経路と感染制御・免疫系との相互作用ネットワークを明らかにすることを目指している。特に注目している分子群はYAP欠損により極めて高度に発現上昇しているMHC classII protein complex、Antigen processing and presentation of peptide or polysaccharide antigen via MHC classIIなどMHC class II関連分子である。抗原提示とYAPの関係解明は世界初の検証となる。本研究で得られる成果は、抗原提示とYAPという新しい生物学的コンセプトを起点として、広範な生命科学領域の向上と強化につながるとともに、ヒト難治性疾患の病態解明と治療戦略の開拓を目指して、今後の研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた細胞感染でのYAPの役割の解明やオルガノイドの作成と感染実験の着手に至っており、YAPノックアウトマウスの作成にも着手した。2020年度は、オルガノイドやYAPノックアウトマウスを使用した実験を推進する。
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今後の研究の推進方策 |
研究では樹状細胞dendritic cell (DC)(野生型 vs YAP欠損)等抗原提示細胞とサルモネラ感染細胞における抗原のプロセッシングと抗原提示におけるYAP/TAZの役割を解明し、Hippo-YAP/TAZシグナル伝達経路と感染制御・免疫系との相互作用ネットワークを解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画より動物飼育費用が減額できた。余った経費は次年度の動物飼育費に充当する。
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